37/104
36.
「雨やまないし、今日は家に泊まりなよ」
ボクの声にキミは目を見開いて驚く。
「え?いいの?」
まだ外は強い風が吹いていた。
ガタガタと窓を強く叩く音が微かに聞こえる。
こんな天気の中ボクがキミを外に放り出すわけなんてないのに…。
なぜキミがそんなに驚くのか理解できなかった。
「外まだ雨降ってるし、風もきついし…。
せめて台風通り過ぎるまではここにいなよ」
とりあえずボクはぼそっと声を落としてキミにそう伝える。
「ありがとう」
キミの照れた笑み。
なんとも言えない緊張感がボクたちを包み込んでいた。




