表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/104

99.

15禁です。

 きっとこの小太りの男がキミの心底嫌う


 親


 なんだろう。


 偉そうに座ってるこの雰囲気からそう感じた。


 そうかこの男に言われ、キミはイヤイヤ売春をしていたのか。


 ストンとキミの現状が腑に落ちた。


 キミの今の顔を見ていたら分かる。

 望んでないんだろ?辞めたいんだろ?嫌なんだろ?


 「ほら、観客にもちゃんと挨拶しろよ」


 小太りの男がキミに近づき思いっきり頬を殴る。

 そしてキミの髪を引っ張り上げ、ボクへとその顔を向けさせる。


 全く合わない視線。

 キミの顔はこっちを向いているけれど、ボクを見ていない。

 どこか遠くを見ていた。



 ああ声が出ない。

 代わりに怒りがフツフツとこみ上げてくる。


 熱い。熱い。熱い。

 

 キミが濃い化粧を好んでしていたのは、

 こんな汚い男からの暴力の跡を隠すため?

 

 また児相に目をつけられたら、誰かがひどい目に合うから、

 それを隠すために不良娘を演じていたの?


 見回りおじさんに会いに行きたかったのは、

 それでも尚この現状からどうにかして逃げたかったから?


 ボクは腹がたった。

 全てにムカついた。


 キミを笑いながら犯すアイツも。

 キミをモノのように扱う取り巻きたちも。

 キミを金の道具としてしか見ていない、この小太りの男も。


 キミの決死の覚悟の逃避行をダメにしてしまったボク自身も。



 「コイツびびってんぞ」


 動かず、その場で呆然と突っ立っているだけのボクに

 彼らはゲラゲラ下品な笑い声でボクを揶揄う。


 ボクをバカにするのはいい。

 でも、キミをバカにするのはやめてほしい。


 「にしても、お前ら下手か。俺が見本見せてやるわ」


 男が下着を脱いだ。

 その男の下半身を見て、今からナニが起こるか冷静に感じ取ったボクは、

 プツンと頭の中で何かの糸が切れた。




 そして、この部屋から出ていくことにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ