99.
15禁です。
きっとこの小太りの男がキミの心底嫌う
親
なんだろう。
偉そうに座ってるこの雰囲気からそう感じた。
そうかこの男に言われ、キミはイヤイヤ売春をしていたのか。
ストンとキミの現状が腑に落ちた。
キミの今の顔を見ていたら分かる。
望んでないんだろ?辞めたいんだろ?嫌なんだろ?
「ほら、観客にもちゃんと挨拶しろよ」
小太りの男がキミに近づき思いっきり頬を殴る。
そしてキミの髪を引っ張り上げ、ボクへとその顔を向けさせる。
全く合わない視線。
キミの顔はこっちを向いているけれど、ボクを見ていない。
どこか遠くを見ていた。
ああ声が出ない。
代わりに怒りがフツフツとこみ上げてくる。
熱い。熱い。熱い。
キミが濃い化粧を好んでしていたのは、
こんな汚い男からの暴力の跡を隠すため?
また児相に目をつけられたら、誰かがひどい目に合うから、
それを隠すために不良娘を演じていたの?
見回りおじさんに会いに行きたかったのは、
それでも尚この現状からどうにかして逃げたかったから?
ボクは腹がたった。
全てにムカついた。
キミを笑いながら犯すアイツも。
キミをモノのように扱う取り巻きたちも。
キミを金の道具としてしか見ていない、この小太りの男も。
キミの決死の覚悟の逃避行をダメにしてしまったボク自身も。
「コイツびびってんぞ」
動かず、その場で呆然と突っ立っているだけのボクに
彼らはゲラゲラ下品な笑い声でボクを揶揄う。
ボクをバカにするのはいい。
でも、キミをバカにするのはやめてほしい。
「にしても、お前ら下手か。俺が見本見せてやるわ」
男が下着を脱いだ。
その男の下半身を見て、今からナニが起こるか冷静に感じ取ったボクは、
プツンと頭の中で何かの糸が切れた。
そして、この部屋から出ていくことにした。