1/104
プロローグ
いつから始まったか、そんな事覚えてない。
きっかけが何なのか、そんな事知る訳がない。
「おい、脱げよ」
「自分で触れよ」
「ほら女子ー!見ろよ、こいつの!ちっちぇ」
ケラケラ笑いながらボクに命令する男たち。
反撃しようなんて、もうそんな気力残ってない。
殴られるのは痛いし、後で担任に呼び出しくらうし。
それにもう慣れたんだ、この仕打ち。
だからこの屈辱の時間は、テレビCMだと考えることにしてる。時が流れていくのをただただ待っているだけのあの無駄な時間。
「きゃー!」
「もー、男子!こんなところで脱がないでよ!」
「先生呼ぶよー」
全く教師を呼ぶ気のない、好奇心で見つめてくる女たち。
ボクは教室で下半身だけ剥き出す。
『今日、傘忘れたなぁ』
窓の外に見える雨雲をみて、呑気にそんな事を思っていた。