ピパロン王国警備隊 第1話 隊長、大変です!
世界に愛を、宇宙にニッコリを!漫画のようでマンガでない大人子供のための1話読み切りのゆるいお話。
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第1話 隊長、大変です!
ここはピパロン王国。ピパロン王のもとで仕事をしている。そう、そこはピパロン王国警備隊なのであった・・・
○隊長、大変です!
「隊長、大変です!」
そう言いながら、慌てて入ってきたのは、新人のルミ隊員。
「どうした、ルミ隊員!」
と、こちらは我らがピパロン王国警備隊のトーマ隊長。
「カムカム美術館の館長から、怪盗オリーからの予告状が届いたとの連絡がありました!」
カムカム美術館はピパロン王国の文化遺産や世界的絵画が展示してある国立美術館館だ。怪盗オリーに狙われるとは一大事だ。
「なんと、あの世間を騒がす大泥棒、怪盗オリーの予告状だと!?ルミ隊員、すぐに現場へ急行だ!怪盗オリーを檻に入れるゾ~」
「・・・はい!」
最後の「怪盗オリーを檻に入れるゾ~」というところがダジャレなのか、たまたまなのか訝しく思いつつ、トーマ隊長の指示に従うルミ隊員なのであった。
○カムカム美術館
トーマ隊長とルミ隊員がカムカム美術館に到着すると、待ち疲れた顔をした館長が、早速話し始めた。
「おお、ピパロン王国警備隊の皆様ですね。お待ちしておりました。」
「ハッハッハー。正義の味方、トーマ隊長が来たからからには、もう安心です。怪盗オリーの予告状を見せて頂けますか?」
どうしてこんなに自信満々なのかよくわからないルミ隊員だったが、館長は頼もしと感じているのかもしれない。
「はい、これです!」
館長は、1通の手紙を手渡した。
カムカム美術館の諸君、こんにちは。
私は世間を騒がす大泥棒、怪盗オリーである。この美術館に飾られている「マシュマロの微笑み」は素晴らしい!気に入ったのでこの怪盗オリーの絵画コレクションに加えることにした。
本日、12時に頂きに参上するよ。首を長くして待っていたまえ。
怪盗オリー
ルミ隊員が興奮気味に口を開いた。
「これは正しく怪盗オリーからの予告状ですよ~。マシュマロの微笑みといえば、ルーヴル美術館のモナ・リザの微笑みに匹敵する名作ですよ、大丈夫ですか!?」
「フッフッフッ、ルミ君、怪盗オリーは重大なミスを犯している。」
トーマ隊長は自信たっぷりだ。
「え、なんでしょうか。私にはさっぱり...」
「こんな簡単なミスがわからないのかい?仕方がない、教えてあげよう。12時にはここには「マシュマロの微笑み」はないということだ。事前に「マシュマロの微笑み」の偽物を飾っておいて、本物は我々が別の場所で監視するのさ。盗むものと時間が書いてあることが重大な失敗なのだ!」
「でも、予告状って、それが普通では・・・」
これを怪盗オリーのミスと考えるトーマ隊長の思考がよくわからないルミ隊員であったが、館長はいたく感心している。
「なるほど!それは名案です。早速、手配します!」
トーマ隊長は満足げに頷いている。
「よもや怪盗オリーも偽物が飾られているとは思うまい。今回は我々の勝利だ~」
トーマ隊長の自信とは裏腹に不安が募るルミ隊員であった・・・
○11時57分の会話(3分前)
「・・・暇だなぁ、ルミ隊員、そうだろ?」
トーマ隊長が緊張感のない声で話し始めた。
「確かにそうですけれども、怪盗オリーを捕まえるためなら仕方がないでしょ...」
たしなめるように応えるルミ隊員。
「マシュマロの微笑みを見ているだけなんてつまんないだろ。」
「なんですか?いいじゃないですか!モナ・リザと、同じくらいの価値があるんです!本物をじっくり見られるなんて中々無いんですから...!」
「そう怒るなよ。そ...そうそう、これは演技だ演技。怪盗オリーにそう思わせるためにな。な!」
白々しい嘘をつくトーマ隊長。
「じゃあ、何か作戦があるんですか?」
「あ、えっと......あっ!そうだ!あるぞ作戦!フッフッ、怪盗オリーみてろよ!」
「いや、絶対今考えてませんでした?」
信用しないルミ隊員。
「ともかくそんな事はどうでもいい。怪盗オリーに聞かれ無いようコソコソ話しようじゃないか。」
「はい!」
「寝てるフリをするんだ。そして怪盗オリーが来たら捕まえる。どうだ?」
シンプルだが意外と有効な作戦にも思える。
「良いですね!では寝ましょう。」
ここは素直に従うルミ隊員。
しかし、この作戦が波乱を生む・・・
○怪盗現る!
「ZZZむにゃむにゃ...」
寝たふりのはずがしっかり寝てるトーマ隊長。
「(あれっ?寝てる?)」
焦るルミ隊員。
「どうやら2人とも寝ていますねぇ」
この声は・・・
「(あっ、怪盗オリー!)」
「隊長も、隊員も寝ているなんて、絶好のチャンスですねぇ」
「今だ!それっ!」
この瞬間を逃さず怪盗オリーに飛びつくルミ隊員だが・・・
「あっ...起きてたんですね♪」
とか言いながらヒラリと身をかわす怪盗オリー!
「そうに決まってるでしょ!」
「仕方かないですねぇこちょこちょで攻撃です。」
怪盗オリーの必殺技、こちょこちょ攻撃!
攻撃に耐えきれないルミ隊員は・・・
「うっ...あっ、手を放してしまった!」
やってしまった、という顔したルミ隊員。
「ふふふ♪また楽しみにしてますよ。スタッとな。」
怪盗オリーは余裕の笑み。
「ううう...」
うなだれるしかないルミ隊員であった・・・
○翌日
「すいません、すいません!」
もう、謝るしかない、とばかりに館長に必死に頭を下げるトーマ隊長。
「あ、そんなに頭を下げないで。マシュマロの微笑みはありますし。」
「えっ!?」
意味がわからず戸惑うトーマ隊長。
「怪盗オリーがこんなカードを残していったんです。」
と言いながら、ルミ隊員はトーマ隊長に1枚のカードを手渡した。
親愛なるカムカム美術館の諸君
「マシュマロの微笑み」をいただこうと思っていたが、勇敢に飛びかかってきた隊員に免じて、今回はやめることにしたよ。こちょこちょに耐える練習が必要だね。寝顔が素敵な隊長によろしく。
怪盗オリー
マシュマロの微笑みが無事とわかり、ホッとするトーマ隊長。
「ルミ隊員、隊員のくせにこちょこちょにも耐えれないのか?まだまだ子供だなぁ」
「隊長だって寝てたくせに...」
というわけで、今回はなんとか絵画は盗まれずに済んだか、この先が思いやられるでこぼこコンビであった・・・
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