6人目の友達
こちらは百物語五十七話になります。
山ン本怪談百物語↓
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小学校2年生の夏休み。
僕は家の近くにある公園へ4人の友達を集めると、かくれんぼをして遊ぶことにしました。
最初に鬼を担当したのは、ちょっとだけ太っているA君。
残った4人は公園の中に隠れると、A君が見つけてくれるまでドキドキしながら待ち続けることになった。
数分後…
「あっ!○○見っけ!これで4人見つけたぞ~!」
水飲み場の裏にある草むらへ隠れていた僕は、4人の中で1番最後に見つかったらしい。
「全員見つけたから、次の鬼は最初に見つけた…」
次の鬼を決めるために5人で話し合っていると…
「お~い!俺まだ見つかってないよ~!忘れるなよぉ…!」
滑り台の裏にある草むらから、友達の1人が顔を出した。
「おいおい…隠れている奴を忘れるなんてほんとバカAだなぁ~」
「えぇ?そんなはずは…俺ちゃんと4人見つけたぜぇ…?」
今考えてみると、この時点で「何か」がおかしかった。
「次はだるまさんが転んだやろうぜ。鬼は俺がやるからさぁ」
次の遊びは、だるまさんが転んだ。鬼は僕が担当することになりました。
「いくぞ、だるまさんが…転んだ!」
勢いよく後ろを振り返ってみる。4人はニヤニヤとした笑みを浮かべながら、僕のことを見つめている。
「だるまさんが…転んだ!」
再び後ろを振り返ってみる。4人がだんだんこちらへ近づいてきている。
「だるまさんが………転んだ!」
今度はゆっくりと後ろを振り返ってみる。5人が緊張した様子でこちらを…
「あれ?ちょっと待って…」
僕は奇妙な違和感に気がついた。
「あれ…俺たち5人だったよな…?」
何を言っているんだという感じで、4人がこちらを見つめてくる。
「そうだよ。お前が俺たちを集めたんじゃないか。まさかお前までAみたいになったのかぁ?」
メンバーを見てみると、この場にいる人数は全員で「5人」だ。鬼が1人で他が4人…
「ごめん、見間違いだわ」
僕たちは特に気にすることなく、そのままだるまさんが転んだを続けた。
「みんな、おやつ持ってきたわよ~!」
しばらく遊んでいると、母さんが公園へ差し入れのおやつを持ってきてくれた。
「ちゃんと全員分のアイスを持ってきたから、仲良く食べるのよ」
母さんは公園のベンチに人数分のアイスを置くと、こちらに向かって手を振りながら家へ帰っていった。
「みんなアイス食べようぜ。ちょっと休憩しよう」
僕たちはアイスを取りにベンチへ向かうと、遊びを中断しておやつを食べることにした。
「Aはこれな!Bはどれがいい?」
全員でアイスを分けている途中…
「あれ、僕のアイスが…」
どういうわけか、アイスが1人分足らないことに気がついた。
「俺は持ってるぜ」
「僕も」
「今くれたよね?」
「1個しか取ってないよ」
「さすがに僕でも2本は取らないよ~」
僕以外の全員が、手にアイスを持っている。
「みんな持ってるよな?1、2、3、4、5…お前以外全員アイスを持って…あれ…?」
B君が全員の持っているアイスを数え始めた。その時、B君も「何か」に気がついた。
「5人…あれれ…?確かに今…あぁ、すまん間違えたわ…」
どうやら、母さんが持ってくるおやつの数を間違えたらしい。
そういうことにしておいた。
「もう夕方だし、今日は帰ろうぜ~」
夕方の5時過ぎ。
公園で遊び疲れた僕たちは、それぞれの家へ帰ることにした。
子供だったこともあって、公園で感じた違和感はもう忘れていたと思う。
「ただいま~!」
僕の家は、公園から歩いて10分くらいのところにあった。家へ帰ると、母さんと妹が僕を出迎えてくれた。
「おかえり、〇〇ちゃん!今日はずいぶん遅く…あら?今日はお友達も一緒なの?」
「…えっ?」
その言葉を聞いた途端、僕は慌てて後ろを振り返った。
そこには誰もいなかった。
「あれ、さっきまで〇〇ちゃんの後ろにいた男の子は?庭の方へ行ったのかしら…」
そこからのことは、あまり詳しく覚えていない。
怖くなった僕は、母さんの胸に飛び込んで泣いていたらしい…
夏休みが終わってから数日後、クラスの女子たちが奇妙な噂話を僕に話してくれた。
「○○君の家の近くに公園あるでしょ?あそこ『お化け』が出るんだって~!」
詳しく聞いてみると、あの公園では子どものお化けが現れて、気に入った子どもに憑りつくのだという。
子どもたちがよく考えるレベルの怪談なのだが、僕はそれがただの怪談だとは思えなかった。
だって、今でも時々言われるのだから…
「○○君ってさぁ、たまに小さな男の子連れてるよね~」