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第六話 じゅんび
「ご馳走さまでした」
二人は手を合わせ、そう言った。
カタッと食べ終わったレーションの缶が部屋のすみに置かれる。
「やることないし、寝る?」
一つしかない大きな寝袋をトントン——と叩く少女。
少年は首を横に振り否定の意を示す。
「今日から日記つけようと思ってるから先に寝てて良いよ」
少年はまた同じカバンからノートを取り出して、言う。
「あ、この前の街で見つけたアレ。いいなー」
少しだけニヤりと笑う少年。
「じゃあ交互に書く? 交換日記みたいに。今日は書くから、明日書いてよ」
「おおー。いいねーそれ」
満足したようににっこりと笑い、寝袋へゆっくりコテンと倒れる。
「ん。決まり——じゃあ眠くなってきたし、そろそろ寝るね」
少年は時計を確認。
それは九時少し前を示していた。
「今日はいつもより遅いね、僕も眠いしすぐ寝るよ」
「ん、じゃあ——おやすみ」
弱い声を残して、少女は眠りについた。
「よし、眠いし、ちゃちゃっと書くか」