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第十話 ぎもん
「固いの、コード巻き付いてるからじゃない?」
少女が、物体を眺めつつ、口を開く。
「あ、そっか。――ナイフとってくれる?」
確かに、とうなずいた少年は、少女の方を向いた。
「はいはい。じゃあカバン置いて」
するり、と肩を通り抜けてカバンが地面に落ちる。
さぱっ、と粉塵が上がる。
しゃがみ込みながら、少女は問う。
「そういえば、なんでこここんなに瓦礫あるんだろ」
さぁ、と前置き、少年は言う。
「地面、ひび割れてるからだと思う」
少女は首を傾げた。
「じゃあ、なんでひび割れてるんだろ」
ふむ、と。
少年は周りを見渡す。
「分からない。でも、この物体を中心に割れている気がする」
その声を聞いて、少女も辺りを見回した。
「……言われてみれば、確かに。あ、ナイフあったよ」
少年は。すっ――と差し出されたナイフを掴む。
そして、巻き付けていた布を解く。
「ありがと。――じゃあ、切るよ」




