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第七話 ごとうち4
「……?」
中から出てきたのはなんの変哲もない、いつものレーション。
「いつもどおりだよな」
「あ、いや。ちょっとだけ匂い違う気がする」
鼻を近づけた少女が言った。
「え? そうか?」
「うん。たぶん」
「そっか……って、食いやがったな」
いつの間にか手にあったはずのレーションが半分ほど消えていた。
「んくっ、んむぐっ!」
何か目を輝かせながら言葉をしゃべろうとしている。
「いや、宇宙食だろ?」
少女はふるふる首を振った。
伸ばした手が、少年の手を口へと近づける。
さくっ、と音がした。
「ん? ……ん?」
こくり、少女が飲み込んだ。
まだ目は輝いている。
「ね? 食べたことない味でしょ? なんの味だろうね」
少年もすぐに飲み込んだ。
「そうだな。初めて食べた味だ」
ぽいっと、袋を投げ捨て立ち上がる。
「じゃあ、そろそろ行こっか」
「ん。ダイエットもかねて今日はいっぱい歩こう!」
白い世界を、風にあおられて銀色の袋は飛んでいく。
製造場所:月 と書かれた部分が誰にも見られないままに。
ばくだんとうか




