第四話 はっけん
「ふぃー。見つかってよかったね」
都市の中央部周辺、あるマンションの一階。
コンクリートの壁で囲われた部屋に二人が座っていた。
窓は割れていて十一月の風が遠慮なく吹き付けてくる。
入ってくるとき開けるはずのドアは朽ちたのか存在しなかった。
窓も割れていて、風通しが非常に良い。
「崩れ落ちなさそうなところここしかなかったからな……」
外側のビルはまともに立っているものが多かったが、中央付近になると崩れかけていたり、そもそも倒れていたりと、なかなかにひどい光景だった。
その中で一番マシなものでこれだ。
少年が溜息をつくのにも納得できる。
少女は少年が背負っていたカバンから寝袋を取り出して冷たい床の上に敷き、その上に座った。
「風通しが良すぎる気もするけど……ビル風が吹く外よりはマシか。あと――あ、やっぱりあった。ソイツこっちに連れてきて。充電するから」
壁に設置されている小型の装置を見つけた少年は少女を手招く。
少女は抱きかかえていた立方体と共にそちらへ歩いて行った。
少年がこれまたカバンから取り出したコードを装置と接続し、四つの角をちょいちょいと触る。
うぃーん、と音がして立方体の辺から淡い橙の光が漏れ始め、暗くなっていた部屋を照らした。
「……いけたか。光もよし、と。じゃあ、ご飯の準備しようか」
汗を拭きとるような仕草をして、少年が少女へと振り返る。
にまっと笑った少女は返した。
「了解!」