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第十九話 あたたかさ1
雪こそ降らないが、かなり気温が低い。
時折吹く風も体から体温を奪っていく。
「……あれ? あいつどこやった?」
少女が持つはずのそれが見つからなくて少年がいった。
「まさか置いてきたとか言わないだろうな」
「ん? ……ああ、カバンの中にいれたよ」
しれっと少女は言う。
「ちょっと重い気がしたのはそのせいかよ」
ぼすん、と大きな音と共に少年が体ごとカバンを地面に下ろす。
左手の少女の手を振りほどこうと――
「させないよ」
「いや、離してくれよ」
――振りほどけない。
「くろとの手を離したくないの」
少女がつぶやいた。
「滅多に口にしない僕の名前を使うぐらいならその真顔をやめて少しでも頬ぐらい染めて見せろ。いいから手を離せ」
うわーと手を振るが離れない。
「絶対離さない私の湯たんぽ!」
題名の通りつづいたりします




