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第十七話 かんけい
「夜の世界、久しぶりだね」
少年がつけている時計は夜の十時を表している。
少女の声に反応してふと空をみる。
視線の先、ビルとビルの隙間から月がみえる。
形はあまりきれいではないが、星の明かりの中光っている姿は美しかった。
「そうだな、月もかなり久しぶりな気がするし」
つられて少女もくっ――と首を捻って少年と同じ方向を向く。
「あ、ほんとだ。……きれい」
感嘆の声を漏らした。
直後なにか余計なことを考えたのか少年がニヤリと笑う。
「え? なんて? 月がきれいですね?」
軽くからかったが、少女ははぁ――とため息も漏らした。
「なんで告白しなきゃいけないのさ……」
そんな話をしながら、今までと変わらず歩き続ける。
ぴゅ――と吹いた風が少女の髪をなびかせ、
風で冷たくなった手を二人は繋いだ。
これがふたりのかんけい




