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第十五話 なまえ
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「おーい」
声を聴いて少年が目を覚ますと、そこは見慣れた世界だった。
相変わらずビルは壊れているし、人はいない。
「あ、生きてた」
「生きてるよ。あ、夢も見たよ」
軽く返して、周りを再び見る。
日はとっくにくれたのか、周りは暗い。
天を見上げると星が輝いていた。
ついでに、少女の笑顔も輝いていた。
今更、後頭部にある温かさが少女のふともものモノだと知ったのか頬を少し熱くした。
そんなことは露知らず少女は聞き返す。
「へぇ、どんな夢?」
ちょっと考えた後少年は答える。
「僕たちがまだ、この世界に慣れていなかった頃の夢」
へぇー、と興味なさげに少女は返し続けた。
「あ、そういえば。急に倒れてから三時間ぐらい寝てたよ。慣れない体勢で歩くからじゃない?」
間髪入れず少年が突っ込む。
「しろな、歩かせたやつお前じゃねえか」
少女は、沈んだ太陽にも勝るような笑顔を浮かべた。
「私の名前、半年ぶりに呼んでくれたね。くろと」




