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零 カコノキオク 下
まぶしい光が、彼らの視界へと飛び込む。
思わず目を閉じるが、その光は瞼を貫通し闇に慣れた視界を白く塗りつぶす。
「まぶし」
思わず少女がそうつぶやくほどだった。
しばらくして慣れてきた彼らはようやく目を開ける。
そこには、文字通り、
壊れた世界が広がっていた。
――風化したのか跡形もなくなった窓ガラス。
――根元部分からばったり倒れた高層マンション
――誰も歩かない大通り
――少年たちが生きていた頃は大気汚染などで色が薄くなっていた空は、驚くほどに蒼い。
彼らは言葉を失った。
彼女らは目を疑った。
何度も目を瞬かせる。
が、現実は変わらない。
「え?」
かろうじて漏れた声は靴の音に塗れ消え去った先ほどよりも、
無音の、何もないここでは、
大きく響いた。
終末世壊