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第三話 たんさく
この街に入ってから、数時間が経った。
少年たちはまだ疲れたそぶりを見せない。
疲れてはいないようだが……
「お腹すいてきた」
少女が喚いた。
くきゅ――と少女のおなかも同意するように呻いた。
うるせえ――と少年は苦笑を浮かべた。
「よさそうな寝床が見つかってからな」
そう言った先から少年の腹も鳴るが、無視して歩くが、頬が恥ずかしさからか朱に染まる。
少女がぷっと噴き出した。
少年は耳をふさぎ足を速める。
少女もそれに合わせて足を速める。
とてとてとて――
たいして変わらない高さの肩を並べ、歩き続ける。