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第二話 よぞら
11/11 大幅加筆修正
とて、とて、とて――
高いビルに挟まれた、広い道路の上を歩いている。
まわりに音が出る物が一切存在しないからか、靴音の一つですら大男と大山が出したやまびこのように響く。
右左をビルによって挟まれてエコーがかかっている、ということももしかしたらあるかもしれない。
「この辺のビル高いね……」
当然、小さなつぶやきですら少し離れた少年の耳に届く。
「そうだな。空でも支えているんじゃないか?」
すっかり暗くなった空を見上げ、少年はこぼす。
外から見た時こそ、そうは思わなかったが中に入ると見え方は変わる物だった。
天につながっているようにすら見えるほど。
少年の言った冗談がおかしかったのか、少女はクスリと笑った。
「そしたら、ビルの一番上で色んな人に会えるんじゃない?」
何気なく言った言葉だったが、その言葉に、二人して空を見上げる。
黒い空に、星が光っていた。