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第十一話 ふくしゅう
すさぁ――
強めの風が吹いた。
小石が転がった。
少女に倣って寝ようとした少年にぶつかった。
「いてえ」
目をパッチリ開ける。
自分に突撃をかましてきた石を恨めしそうに見つめ、空を見上げる。
風に吹かれた雲が高速で移動している。
朝は雲がなかったのに、と太陽を隠して温かさの元を奪った白色も恨めしそうに見る。
「なんか、腹立つな」
右手でアスファルトをとんとんしながら唇をぐっと噛んで考え始める。
「あ、そうか」
異常なまでの笑みを浮かべて、少年は行動に移った。
少年は近くに置いていた立方体を持ってくる。
少女の頭上数十センチほどの所にキューブの角をセット。
天に一番近い頂点を押した。
「……うへゃいぇあぁぁぁぁぁぁ!」
「寝てるときに、頭から水をかけてみた」