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第八話 かけあい
「水を作るために周りの水分取って溜めとくっていうそれの性質? ……そんなに高速で乾いたら僕らも干からびるよ」
沈黙の帳が降りた。
少女は何か言い訳を探すように手を動かすが、声は発さない。
観念したように手をあげやっと振り返り、ぺろっと舌を出しつつ自らの非を認めた。
「……はい。めんどくさくて寒そうだからしてません。でも、さっぱりしたでしょ?」
「……うん、そうだな。ありがと……うん? じゃあお前もさっぱりしn
言葉の途中で少女は流れるような動作で少年の隣にあるバッグをひっつかみ、駆けだす。
「置いてくよー!」
少年は微笑ましげに苦笑しながらその光景を眺めていたが、声を聞いて立方体を抱きかかえて少女を追いかけた。
「止まらないと、明日寝てるとき頭の上から水かけるからな!」