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第七話 しつもん
「遅かったな」
少女が部屋に戻ると、少年は荷物をまとめて待っていた。
いつもは優しいその声が少し強い気がして、少女は首を傾げる。
「どうかした?」
「ほんとに朝、体拭いたか?」
少女はくるりと入ってきた所へさっと振り返って少年へ背を向け、聞こえるかどうか怪しい声量で——うん。と答えた。
「布濡れてなかったんだけど?」
少年は追撃をかけた。
「……あの子が滅茶苦茶働いたんじゃないの?」
後ろを向いたまま立方体を指さし、少女は悪びれずそう言う。
「水を作るために周りの水分取って溜めとくっていうそれの能力?」
少年は、そこで少女に確認をとるために視線をそちらへ向けるが、まだ向こうを向いていた。
少し動いた首を肯定ととらえ話を続ける。
……——。