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異世界は厳しいようです  作者: lithium
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動きと移動

 葵「うーん…、いい意味で話題にはなってたよ」

桜「なんか意味深な言い方だな」

葵「なんていうか、あまりいつもとは変わらない日常だったからさ」

桜「死んでも俺はインビジブルなんだな」

葵「気に入りすぎだろそれ」

彼にはあまり実際の状態を伝えようとは思わなかった。彼はこの世界をエンジョイしてるし、抑こういう世界に来たがっていた。あまりいい待遇を受けていなかった現世に、少しでも後悔を残してほしくない。

 今考えれば、桜が転生した後の現世での生活は恥ずかしいものであった。思い出すだけで耳が熱くなる。なんであんな精神状態だったんだろうか。あー恥ずかしい。早く忘れたい。

桜「葵どうした?なんか耳赤いぞ?」

葵「え、あ、な、何でもないよ!うん、大丈夫」

桜「そうかい。なんかあったら恥ずかしがらず教えてくれよ?今は葵が頼みの綱なんだから」

葵「わかったよ」

頼みの綱か…。人に頼られるって経験が無いからなんだか申し訳なさを感じる。

 

 流れる人の波。それを眺め続けて数十分。段々とその流れの法則性が分かってきた。

桜「よし決めた、あの道から行こう」

葵「なんで?」

桜「この広場をスルーして先の道へ行く、それから考えるにここは多分中間地点だと思う。端の方から中心地へ向かうための中間地点ということだ。そして大勢の人々は今来た道からあの道へ進んでいる。あの道を使っている人の服装とかがバラバラなのも、中央とつながっているからなんだと思う。故に俺たちはあのへ進むのが最適解だということ」

葵「なるほどそれっぽい」

桜「実際、どの道が正解なのかわからないから、否定する理由も無いでしょ?」

葵「確かにね。私も納得しちゃったし、それでいいんじゃない?」

桜「そうと決まればレッツゴー!」

 意見が固まり、決めた道へ進んだ。気のせいかもしれないが、太陽の位置が転生時と変わっていない気がする。まるで白夜のようだ。いや、白夜でも太陽の位置は変化していたか。でも、陽が沈まないってどんな生活をしているのだろう。陽が沈まないということは、さしずめ夜が来ないということだ。これこそ本能に従った生活なのかもしれない。夜というものが存在しない以上、寝るタイミングは多分、眠くなったら寝るみたいな感じなはず。そういう生活も悪くはないかもしれない。

葵「桜、太陽動いてなくない?」

桜「葵も気づいてた?」

葵「うすうすね。」

桜「所謂潮汐ロックってものかな」

葵「それっぽい名前」

桜「確かにそれっぽいな」

葵「というか、その潮汐ロックの説明を教授いただきたい」

桜「了解。潮汐ロックとは、簡単に言えば常に同じ面が恒星若しくは惑星に向いていることを指す。原理としては、恒星若しくは惑星との重力均衡みたいなのが起き、自転周期と公転周期が一致してしまうということだったはず」

葵「なるほど。つまり月みたいなことでしょ」

桜「うむ」

実際、夜が来ないことの弊害は数多くある。なぜなら、その状態に陥ったことが無いからだ。地球に住む人間は昼と夜のリズムで成り立っている。地球には白夜というものがあるが、それも一時的なものである。常に陽に晒されているという状況は地球ではありえない。

 

 道は人でごった返している。どの文化圏でもこういう状態になるのか。

葵「人、多いね」

桜「結構栄えている街っぽい」

葵「だとしたら、この道がギルドにつながっているとは限らないな」

桜「まぁそれは結果論じゃない?」

葵「てか私相手の言語が理解できるから、聞いた方が早くない?」

桜「なんて盲点。聞くなら地図の位置の方が良いな」

葵「確実性が高いから?」

桜「正解」

葵「うざいね。取り敢えず聞いてくるわ」

そう告げた葵は、商店の店員に聞きに行った。一応俺もそのあとをついていく。

葵「地図は商店で配ってるんだって。だからもらってきた」

桜「へー、結構考えられてるんだな」

葵「見た感じだと、この道であってるっぽい」

葵は地図の中央を指す。そこには私の理解できない言語で施設名らしきものが記載されていた。俺も葵から言語を学ぶべきかもしれない。

桜「なんて書いてあるんだ?」

葵「日本語だと、総合中枢施設とかかな」

桜「霞が関みたいな感じかな」

葵「霞が関を一つの建物にしたみたいなのでいいと思う」

もし、この世界にギルド的なものがあれば、それらの申請をする機関がここにあるはずだ。それに、ここでの生活のサポートも受けられるかもしれない。

桜「確信が持てたから、そこに向かおう」

葵「おー」

 相変わらず陽の場所は同じである。気温も相変わらず10℃ほど。そんな中、繁華街を二人並んで歩いている。周りでは自分の理解できない言語で社会生活が営まれている。

桜「俺にここの言語を教えてほしい」

葵「いいけど…英語の評価はそこそこだよね」

葵は勉強ができる部類に入る。主要教科は基本的にクラスの上位5位に入るほどだ。俺は偏った知識しかなく、学校の勉強はそこそこである。無駄知識を活用しているだけであるが。

桜「ま、いけなくはないかと」

葵「まかせて。泊まる場所で教えるわ」

言語が分からないと、初歩的な社会生活でさえ送るのが難しい。ただ、葵は母語のような認識なのだろう。つまり、「難しさ」が分からないということだ。言語的な「難しさ」が分からないということは、その言語を完全に把握していないということだ。俺のような日本人だって、日本語の主格と聞かれてそれを答えられるのだろうか。そういうことだ。

 葵「今日は休日なのかな」

桜「確かに人が多い気はする」

通りは人でごった返している。まるで浅草の仲見世通りのようだ。謂わば中世ヨーロッパ風の仲見世通りだろうか。然し、どの世界でも接客業は大変なようだ。ただ、ここにはそんな負の印象が無いように感じる。活気であふれているように感じる。

葵「スイスイ進むね」

桜「ああ、これはとある現象を利用してるんだ」

人混みの中でスイスイ進む方法。それは、「歩いている人の真後ろにつく」である。まあ原理は簡単なのだが、とても便利なのだ。

葵「確かに桜はずっと同じ人の後ろにいるね」

桜「憶測だけど、この人は多分俺らと同じところを目指している感じがするからね」

葵「通りの出店に興味を示して無いから?」

桜「そう」

お疲れさまでした。

今回はやっと動きがありました。

どうしてもセリフが多くなるのを抑えようとしてしまいます。

でも別に多くてもいいですよね。

セリフの心情描写の強さはなかなかです。

情景描写ってあまり多いとあからさまですし。

愚痴は言いたくないですよ?

なので、半々を目指しています。

では。

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