プロローグ2
食堂をあとにした僕と裕樹は3階の階段の踊り場へと来ていた。食後のだらっとした雰囲気の踊り場には数名の生徒がだらっと友人と喋っている。
そして少し視線を動かし、見上げれば次のフロアへと進む階段がそこにはある。すなわち、僕らが立っているのは階段の一番下、そこから階段を見上げる形で僕らは立っていた。
シキ「さて、やろうか。今なら人も少ない。だから大丈夫さ、うん」
裕樹「いやぁ……。でもどうせ次に女子生徒が階段を上り始めたら……するんだろ?」
絶望を感じているのだろうか、裕樹はリストラを宣告されたサラリーマンのように青ざめた表情とうつろな眼で僕に訊いてきた。
シキ「まぁね。 大丈夫、大丈夫」
裕樹「まるで他人事だな!」
シキ「あ、ほら来たよ。えーっと……3人か」
僕達の前を短いスカートを軽やかにひらひらさせた3人の女子生徒が通り過ぎて行った。
昼食後なのだろうか、3人は和やかな雰囲気で談笑を交えながらゆっくりと階段を上って行く。今回のターゲットはこの女子生徒3人だ。
まぁぶっちゃけ、今回の罰ゲーム、女子生徒なら誰でもいいんだよね。というか、女子生徒でなければ成立しないんだけど。
シキ「ほら早く! 時間がないよ!」
僕は慌てて裕樹の方へと振り向き、罰ゲーム開始の合図を出した。
裕樹「ちくしょおっ! さらば人望!」
最初からないだろ、という言葉は心にしまい込み、僕は成り行きを見守ることにした。
僕は階段下に裕樹一人を残し、少し離れたところで身を低くして様子を伺うことにした。
裕樹「うらあああああああっ!」
神輿を担ぐ男のような雄叫びをあげると同時に裕樹はその場で勢いよく体を曲げ、ブリッジの体勢をとった。地面に頭がつきそうなぐらいに顔を低い位置にセットして、その体勢から階段上を見上げた。
そう、今回の罰ゲームとは裕樹が階段下でブリッジを行い、女子生徒のスカートの中を覗くという罰ゲームという名を語った犯罪なのだ。
もし階段を上っている女子生徒が振り向きブリッジを行っている裕樹に気付くともう最悪。裕樹は身動きがとれないまま悲鳴や罵声を浴びせられる。
ただ覗くのではなく、ブリッジという体勢にしたのは見つかった時に簡単に逃げられないようにだ。
しかし、ちょっとここで予想外のことが起こった。