私たちの恋愛事情
自己紹介をしよう。
私は琴吹 乃亜――ことぶき のあ――。
大学生である。
そして、今目の前にいるのが私の彼氏。
久留原 樹――くるはら いつき――だ。
私たちは付き合って3年。高校生のときに彼から告白された。当時は彼の事なんて知ってても名前ぐらい。でも私は彼にyesと答えた。理由は単純である。
告白のときのキョドリ加減が面白かったからである。
彼と一緒にいたら楽しそうだな。
そう思ったから、付き合ってみることにした。
さて、話は変わるが、彼についての自問自答をしてみよう。
第1問 彼の第一印象は?
A.イケメンですな。上の中ぐらいのイケメンですな。
第2問 今の彼の印象は?
A.“残念な”イケメンですな。
第3問 何が残念なのか?
A.とにかく何にでもハマりやすいから。ハマりまくって沼から出れなくなる、ある意味変人ですよ、彼。
第4問 今は何にハマってる?
A.甘い言葉で私を落とすこと。何が楽しいのか分からないけれど、とにかくクサイ言葉を並べたてる。そんなんで落ちると思ってんのか、この馬鹿彼氏。
第5問 じゃあ、なんでまだ付き合っている?
A.…………ノーコメント。
「ちょっと、聴いてる?俺のプリンセス?」
はい、コレです。こういうセリフです。今ハマってるのコレです。
「何で真顔なわけ?笑えよ。俺の太陽はお前の笑顔なんだぞ」
楽しいですか?楽しいですかコレ。笑いを堪えたら真顔にしかならないのですよ?違う意味で私を落とそうとしてません?
そんなことを考えていると、いきなりベッドに押し倒された。あ、ちなみに彼の部屋です。というかマンガか。少女マンガのシチュエーションか。
それでも尚真顔な私を見て、彼は眉間にシワを寄せる。
「いい加減にしろよ」
何がですか。という心のツッコミは彼の真剣な顔に見入ってしまって、掻き消えた。
「俺のために、笑えよ。乃亜」
くさいセリフ。はい、くさいです。でも、このシチュエーションで言われたら、堕ちます。だってカッコイイもん!不覚にもドキッとしたし。
いや、私はもとより彼に墜ちているんですよね。
「……樹のその顔見てたいから笑いません。シリアスな顔拝ませてほしいですよ」
「なっ、何言ってんだ/////」
耳まで真っ赤にした彼も可愛くて好きですな。うん、可愛い。照れてる彼、可愛い。
これから語られる物語。
何にでもハマりやすい、彼――久留原 樹と私――琴吹 乃亜のゆるゆるラブコメディー。
開幕であります。