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休息。
「ふぅ…」
溜め息をついたのは終だった。その顔には疲労が浮かんでおり、服は薄汚れている。
―――――
あれから俺たちは、旅館に入っている。
そしてその隣では鴻貴が服を整理し洗濯機へと投げ入れた。
「あ、もう夜だよ」
鴻貴の声で我に返る。見ると確かに外は暗かった。
因みに晩御飯はとうに食べている。鴻貴が眠たげに目をこすって欠伸をした。
「そろそろ寝るか」
鴻貴を促して布団に入る。
ふと思う。
魔王を討伐してしまえば俺達の関係は終わってしまうのか、と。
「ねぇ、終」
突然鴻貴が話しかけて来た。『眠らなくて大丈夫か』と聞いたところ、いざ眠ろうとしても寝られないらしいのだ。
「今日は色々あったねぇ」
本当にそう思う。
「そうだな」
と返すと、鴻貴は此方をじっと見ていた。
「…何だ…?」
だが直ぐにすやすやと寝息が聞こえて来た。どうやら話しているうちに眠くなったらしい。
それを一目見てから、俺も眠ることにした。