水晶。
私達の前に突如現れた巨大な水晶。その中には見たこともない"もの"がいた。
クレイも驚いた顔をしてその水晶をジッと見つめている。だが、これだけ見ていても気づく様子は無い。
(…なんだ?眠ってでも居るのか?)
私がそう思った時、クレイが名前を呼んだ。
何だと思って近づくと、宝箱があった。その宝箱には鍵は無い物の錆び付いており、簡単には開かなそうだ。
先ほどからクレイが開けようと奮闘しているが一向に開く気配は無く、その場に座り込んだ。
「ちょっ…堅いよこれ!!ねぇ、開けられる?」
クレイに請われたために挑戦してみる。一度掴んだ時にかなりの重みを感じた。投げ壊すのはできないだろうが、錆を取ってやれば開きそうだ。
「…おい、何か固く鋭い物は無いか」
「いや、持ってないよ…。」
「…そうか」
「ああ、でもあの二人に借りればいいんじゃないかな…って、あ。」
「何だ」
「ちょっと待ってて!アイス!!」
クレイがそういったとたんに氷の塊が降ってきた。クレイが促すように少し砕いて使用する。
暫くすると、錆がとれて開くようになった。
「開いたぞ…」
どうにかして持ち上げて開くと中には魔法書と――
「グローブ…?っと、少し重いな…」
丁度私の手の大きさぐらいのグローブが入っていた。宝箱が重かったのは宝箱の質量とこれらの物が入っていたからだろう。
因みに先ほどからクレイは魔法書を貪り読んでいる。どうやら魔法書を読むだけで覚えられる物らしい。
「おい、読み終わったなら行くぞ。さっさと合流したいからな」
クレイが読み終わったようなので再出発をする。
(――嫌な予感がするな)
しかし、私はその考えを振り払った。
やがて魔物も現れ始める。
―――魔物を倒し終わったとき
「…これで合流できるんじゃないかな」
クレイが合流する(かもしれない)道を見つけたのでそちらに行くことにした。