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トリップ・アプリ  作者:
青の大地
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閑話8:緑の王冠(中編)

森の中を各パーティに分かれて探索することになった。

ギルドも本気のようで、めったに使わない音継の魔道具(マジックアイテム)を全パーティに貸し出した。

これは高価だがその道具を持っている離れた場所にいる者と即座に連絡が取れる物で、だからこそ破損することを恐れ使わないことが多い。(それも本末転倒だと思うのだが・・・)

それを放出したということは、本気ということ、そして危険度が格段に高いということだ。


そうこうしているうちに、ドラゴンを発見した。

巨大だ。

そして、畏怖を感じる。

未知なるもの、おそらく人間の及びつかない力のあるものに対する、純粋な恐怖。

だが、今は仲間がいる。みんなで生還しなければならない。


私は当初の予定通り、他のパーティに連絡を取った。


しかし、他のパーティも同時にドラゴンを発見、襲撃を受けていた。

他を援護する余裕はない。


ならば、このドラゴンは私たち5人で撃破しなければならない。

覚悟を決め、ドラゴンに向きなおり戦闘を開始した。


結論からいえば、完勝だった。

いや、彼がいなければどうなったかはわからない。そのくらい彼は圧倒的な強さだった。


彼とミランダが前衛に立ち、攻撃の一切を後ろに通さず、後衛の私たち3人のうちマリー姫は治癒を担当し、クライが魔法で、私が弓で攻撃を担当した。

ミランダも大体中間あたりで鋼糸を使っていたため、ドラゴンの攻撃をいなしていたのは実質彼一人だった。

しかし彼は、危うげもなくドラゴンの攻撃をかわし、方向を変えさせ、ときに蹴り飛ばした。

攻撃の速度自体も早く、目で追うのがやっと、最も速い時など残像すら見えないようなありさまだった。


彼は強い。


何度目かはわからない感嘆とともに、彼が味方で良かったと、わずかな恐れ。

そんな自分の心の動きを動きを申し訳なく思うが、それぐらい圧倒的な差が彼にはあった。


こちらの戦闘が終わり他と連絡を取ると、やはりというべきか撃破できたのは2体のみ。

まだあと2体が残っており、そちらへ向かうことになった。


移動中、彼が新作のポーションだが念のために持っていてくれと、どこに入れていたのかかなりの数の瓶をみんなに手渡した。

皆冒険者なので、簡単なアイテムの解析は使える。

愕然とした。

ポーションの効用が桁はずれだったからだ。

消耗品とはいえ、命がかかっている瀬戸際で使うことが多いポーションにはかなりの金額がかかる。

しかもこのランクのポーションにはお目にかかったことがない。

それを「仲間だから」のひと言でポンと渡す。


ああ、彼にはかなわないなと、もらったポーションをしまいながら思った。


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