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閑話8:緑の王冠(前編)
彼と知り合ってまだほんの少ししかたっていない。
けれど、とても密度の濃い日々だと思う。
一人で行動していた私が、ミランダやマリー姫と行動するようになるなんて、考えもしなかった。
新しい町に着いた早々、また厄介ごとに巻き込まれたようだ。
本当に密度が濃い。
ドラゴン。
冒険者なら一度は退治してみたいと思う代表格の魔獣だ。
ギルドから招集がかかったとき、馬鹿な、と思った。
ありえない、と思った。
そのぐらい稀な出来事だからだ。
ドラゴンは群れない。
ドラゴンは基本的に人里から離れた場所に生息する。
だから今回も、ハグレが迷い込んだのだろうと、皆思っていた。
それが思い違いだと知ったのは森に入ってすぐのことだった。