閑話7:青の村(前編)
彼の朝はいつも遅い。
結局なんだかんだで姫殿下と一緒に行動することになり、もう何が何だか、何をびっくりすればいいのかわからなくなった。
彼と出会ってまだ一月すら経たないのに一生分以上の出来事や、驚きに出会った。
今度の依頼は商隊の護衛。少し時間はかかるが新パーティには結束を高める良い依頼だと感じた。
今回は何事もなく(道すがらの小さな小競り合いはあったが)、最初の目的地のオアシスの村にたどりついた。
この村は砂漠と山の境にあり、青い(藍といわないと怒られるが)砂と緑の山に囲まれている。
山の地面の色ももちろん青い色だ。ただ、砂漠の砂が固まったものなのか、それとも別の理由があるのか、崖の青は少し薄い色なのだ。
村で休憩をとるが、いつもの習性で村の中の作りを一周見て回る。
避難経路、敵襲の場合の進撃方向などなど、あらゆる場合に備えろと、私は習った。
それの忠実に、今日も初めての村の中を見て回る。
村の外れの崖の脇に一人の少年がもたれかかって休んでいた。
先ほど、彼にちょっかいを出していた子だ。
疲れたように目を瞑り、ぐったりとしている。
声をかけると、お腹が減ったとのこと。
苦笑して、手持ちの保存のきく菓子を渡すと貪るように食べた。
少し元気が出たのか、礼を言うと村の中へと戻っていった。
育ち盛りだからなと思いながら、少し必死すぎる顔に少し違和感を覚えた。