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閑話6:現実での中毒の進行
目が覚める。
先程ログインしたときと同じ姿勢、同じ服装。
なのに、なにか違和感を感じる。
でも、それがなにかわからないもどかしさがある。
時間はそれほど経っていない。
120分の予定だったが、70分ほどだ。
買い物やクエストを含めて7日過ごした。
やはり10分が1日のようだ。
ふうと、ため息をつく。
はじめたばかりなのに、いや、はじめたばかりだからかひどくゲームが楽しい。
セーブしてログアウトしたばかりなのに、続きが気になる。
今日は少し早いが、もう眠ってしまおうと思っているのに、続きをするためにログインしたい自分が居る。
「なんか、中毒みたいだなあ」
口に出すとはっきりわかる。
中毒みたいではなく、中毒そのものなのだろう。
もうひとつため息をついて、布団に入る。
まだ大丈夫、大丈夫と呪文のように唱えながら。