4.戦闘はランダムエンカウントです
目がくらんで、一瞬周りが見えなくなった。
だが、次に気付いた。
匂いが、気配が、すべてが一瞬で切り替わった。
部屋に中にいたはずなのに、座っていた椅子も、隣にあったPCも机もベッドもすべてなくなっていた。
手に持っているのは携帯のみ。
着ているものも普通のスウェットの上下にスリッパ。
いる場所は・・・。
「森の中!!?」
周囲を見回すと樹齢何十年といわれても信じるだろう、大きな木々。
木漏れ日は入るが薄暗い森の奥深くと予想できる場所だった。
「落ち着こう・・・」
さっきまで携帯でRPGの設定をしていたんだ。それなのになんで…。
「携帯!」
手に持っていても、存在を忘れていた物の画面を見る。
そこには
『ログインに成功しました』
と表示がある。OKボタンを押して先送りをする。
『現在地:最初の森』
の表示とともにMAPが表示されている。
パニック状態のまま色々調べる。
ステータス画面は設定したまま。アイテム画面は何もなし。
装備画面では『普通の服、普通のサンダル、初期武器』
初期武器は灰色になっている。
リアルにorzのポーズをとった。
しばらく放心状態だったが、どうもやっぱりこれが原因だろうとあたりをつける。
残っていたスキルとクエストの各ページも見てみた。
スキル『学習、気配探知、携帯』
クエスト『チュートリアル 0/10:パッシブスキルを理解しよう』
なんかもうもう一度orzになりそうになり、踏みとどまる。
クエストが気になり、クリックして内容を確認する。
『チュートリアル 0/10:パッシブスキルを理解しよう;パッシブスキルは基本的にON/OFF可能です。手に入れたらONにしましょう。スキル項目をクリックしてONにしてください』
これを見て、スキル画面をもう一度あける。
スキル画面のページは赤と青で色分けされており左右に分かれて表示されるようだが、赤の欄には何もなかった。
青の欄の3つがパッシブスキルのようだ。
それぞれクリックするとON/OFFがきりかえられる。
3つともONにすると、ふわっと何かに包まれた気がし、次いでスッと頭の芯が冷えるような、引っ張られるような感覚が森の奥から感じられた。
いやな気配が森の奥から近づいてくる。たぶんこれが気配探知の効果なんだろう。
物の燃えるような臭いがする。
お客さんがおいでなさったようだ。