閑話4:神の祝福(中編)
彼に港町への移動を打診すると、快諾された。
それはもうとびっきりの笑顔付で。
そんな彼の顔が年相応に見えて、ちょっと微笑ましかった。
せっかくだからと、ウェスタまでの護衛の依頼もうけて出発した。
ウェスタまでの道中はとても快適だった。
いつもなら苦労するはずの食事や休息が、安全でかつ快適なものだったからだ。
ビナサ村で旅の準備をしようとしたとき、恥ずかしそうに野宿の準備を教えてほしいと彼は言った。
意外に思ったが、理由を聞いて、見せられて納得した。
キャンプ用の魔道具を彼は持っていたのだ。
今まで見た中で最上級のもので驚いたが、同時に納得もした。
おそらく、休息が冒険者にとって大事なものと理解して、十分にそれが取れるよう選択したのだろう。
武器や防具でなく、こういったものにお金をかけるとは、なんとなく彼の人となりが見えた気がした。
ウェスタまでの道中自体は、私たちもその恩恵に十分浴した。
彼は驕らず、その魔道具を同行者全員に使わせてくれたからだ。
また、彼は食料も多く買い込み、運び込んでいた。
そのため、今回はまったく苦労することがなかったのだ。
安全な建物の中に馬車ごと入っているため、見張りも、火の番も不要。
冒険者になってから野宿を何度もしたが、ここまで気楽という言葉をかみ締め、感謝したことはなかった。