120/143
18.真紅の扉
光が収まると、そこには赤い扉がありました。
それこそ、真っ赤。とか真紅とか、そんな感じの濃い赤で、すごく大きい、重そうな扉です。
フラグ?開けなきゃ進まないんだろうなあとか思いながら扉を開こうとすると・・・。
開きません。ええ、びくともしません。
あれえ?と思って、改めて周りを見回すと、本日何度目かの見なきゃよかったような光景がありました。
敵じゃないですよ?
風景がむしろ敵です。
遠近感も形も、何もかもが歪んで溶けているような風景。
傾いだドア、歪んだ窓、溶けた椅子、捩れた時計。
どこかの有名な画家さんの絵のような風景がありました。
ただし、あんなに落ち着いた感じではなく、色合いが軽薄です。
言葉にするといまひとつなんですが、何かいやな色合いです。
たとえるなら、不思議の国のアリス風味?
でも理解できちゃったんですよね。
ああ、この狂ったところから何か探し出して扉を開かなきゃならないんだろうな、って。
ため息をつくと幸せが逃げるって言うけど、つかなくても逃げてるから一緒かなあ。
まとまりなく考えながら、歪んだ風景を調べようと、扉から離れました。