閑話8:緑の王冠(後編)
2体目は火竜だった。
これは弱っていたせいもあり、彼は難なく倒し、さらに奥に進むことになった。
光が奥に飛んだと彼は言ったが、私には見えなかった。
他の3人にも確認したが、見えなかったといった。
けれど、彼は精霊と友誼を結べる人間だ。彼が見えるといったのなら、本当なのだろう。
彼を信じ、追うことにした。
3体目そしておそらく今まで見た中で最大の魔獣。
できれば援軍がほしかったが、最初の4体のうち最後の一体を倒したパーティは、主力が重症、他のメンバーも負傷し、町に帰るとの連絡があった。
私たち5人でこれを何とかするしかなかった。
初撃を彼が喰らったときは正直終わったと思った。
あのスピードとパワーでは、ひとたまりもないだろうと。
足が竦み名を呼ぶことしかできなかった。
しかし、彼はすぐに立ち上がり、反撃していった。
彼が一度こちらを振り返り、微笑んだときは神に感謝をした。
ドラゴンは強かった。
刃は入らず矢も刺さらず、万策尽きたと思った。
だが、彼は諦めなかった。
ドラゴンに魔法をかけ、自分たちにも魔法をかけ、何とか勝利をつかんだ。
彼がいなければ、ドラゴンは倒せなかった。
彼がいなければ、町は壊滅しただろう。
彼が・・・・。
ああ、そうか。こういうヒトを英雄というんだな。