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7/10

7:開店初日

いよいよお店での開店日。

朝から念入りに掃除して、下準備をする。

この日のメニューは親子丼にキャベツとベーコンのスープだ。

昨日買い出しに行ったら鳥肉が在庫過多で安売りしていたんだよね。

多めに買って鳥ハムやスモークチキンも作っておいた(これは自家用)


立て掛け看板は黒板になっているので、チョークで書き直す。

まさかチョークがあるとは思わなかったので嬉しい。

総菜屋でもチョークでメニューを描いて居たので絵には少しだけ自信がある。

とは言えあくまで素人レベルだけど。

親子丼の説明も忘れずに書いておかないとね。


【鳥肉(親)と卵(子)を使うので親子丼と言います。

 味付けは醤油と砂糖と出汁でほんのり甘め】


これでいいだろう、と思う。

店の前が少し寂しい気もするのでいずれ小さな花壇でも作りたい。

季節ごとの花とか植えて・・・

そう言えば今って季節はいつなんだろうか。

それ以前に四季ってあるのだろうか・・・

今度聞いてみよう。


開店まではまだ時間があるのでコーヒーを淹れて少し休憩。

果たして何人くらい来てくれるだろうか。

初日だしそこまで多くは無いと思うけど、そろそろ下準備を始めておこうかな。

玉葱を取り出して切っていく。

ツンとした匂いが目に染みる・・・

涙と鼻水を我慢しながら切っているとカランカランとドアベルの鳴る音がした。


「あ、ごめんなさい。まだ準備中ですー」

「キクノ、俺だ」

「リコさん、どうしたんです?」

「非番だったのでな、第三兵士団の代表で来た。

 新規開店おめでとう、これは皆からの祝い品だ」


大きな花束と箱を渡された。


「ありがとうございます。開けてみても?」

「ああ、気に入ってくれるとよいのだが」


箱の中には可愛い猫のランプが入っていた。


「うわぁぁぁ、めっちゃ可愛いい!」

「気に入ったようで安心した」

「大事にしますね、お店だと万が一にも壊れたら嫌だし寝室に飾ろうかな」


そうか、以前何気なく猫が好きなのだと言った事を覚えていてくれたのだろう、嬉しいな。

お花はそのままお店に飾らせて貰った。

オレンジ色と黄色の小振りな花と白い小さな花が入り混じった元気が貰えるような花束だ。

まさか開店祝いを貰えるとは思っておらず、とてもありがたい。

この花束のお陰で店の中は華やかになった。

リコさんはこのまま開店を待って食べていくと言うので、カウンターに座って貰いコーヒーを飲んで待っていてもらう事にした。


玉葱と一口大の鳥肉を煮込んで、後は提供する直前に小分けにして卵で綴じるだけの状態になると丁度開店時間になった。

立て掛け看板を外に出せばすでに待っている人が居た。

はやっ、マジで?・・・

と言うか、服装からして騎士? え? なんで? 私なにかやらかした?

そんな覚えはないのだけれども?・・・


「開店でしょうか、入っても良いです?」

「あ、どうぞ。いらっしゃいませ」


お客さん? でも何故騎士の人達が?・・・

いや別に騎士の人が来てもおかしくは無いだろうけど、基本城勤めなんじゃないの?


「エンリコ、来てたのか!」

「なんだ兄貴、来たのか」


はい?・・・ この騎士さんがリコさんのお兄さん?

よく見れば目元が似ているような気がしなくもない。


「驚かせてすみません、エンリコが旨いと自慢するもので気になってしまい

 つい来てしまいました」

「そ、そうですか。でも騎士服と言う事はお仕事中なのでは?・・・」

「早めの昼休みと言う事で・・・」

「なるほど? 今回は大目に見ますが、次回は正規の休み時間で来て下さいね?」


後から城のお偉方にいちゃもんつけられても困る。

特にあのモルソンとかいうジジィ(根に持っている)


「なるほど、人柄も聞いた通りの・・・」

「何か?」

「いえ、なんでも」

「看板の説明は読んでいただけました?」

「ええ、なんの問題も無いので5人分お願いしても?」

「はい、少々お待ちくださいね」


騎士って貴族が多いと聞いたのだけど庶民の味が口に合うのだろうか。

少し不安に思ったがそんな心配は無用だった、リコさんを含めて1人2杯ずつ食べていった。

おかしいな、あれ大盛りサイズのハズなんだけど。

まぁ口々に旨いと言ってくれていたので良しとしよう。

食べ過ぎて午後から寝落ちとかしないでね・・・

リコさんのお兄さんはまた来ると言いながら帰って行ったけど、次はサボらないで来て欲しいものだ。


後でリコさんから聞いたのだけど、無くなり次第終了なのだから売り切れては困ると部下を巻き込んで早めに来たらしい。

巻き込まれた部下の騎士達はご愁傷様だ。


その後も客足が途切れる事は無くて、13:40には完売し閉店となった。

せっかく足を運んでくれたのにお断りするお客さんまで出てしまって心苦しい。

50食分用意してたんだけどな・・・・

あまりの忙しさに見かねたリコさんが途中から皿洗いに入ってくれて助かったけど申し訳なかった。

お皿の数をもう少し増やした方がよいのだろうか。

お礼に夕飯を食べて行かないかと誘ってみた。

この時間ならまだアマンダさんは夕飯の準備を始めていないだろうから連絡を入れれば大丈夫だろう。


「いいのか?

 今日は初日で疲れているだろうから夕飯に誘うかと思っていたんだが」

「でしたら是非振舞わせて下さい。

 感想を聞かせて貰えれば今後のメニューの参考にもなりますし」

「あぁ、それでだな。

 キクノの丼物はギルドで商品登録をしておいた方がいいと思うんだ」

「商品登録?」

「目新しい物は紛い物の粗悪品が出回ったりするんだよ」

「あ~、〇〇直伝だのと見た目だけは似てても味が別物とかか」

「登録しておけばギルドが取り締まってくれるし

 レシピを販売する場合の窓口にもなって貰えるからな」

「なるほど、では一応しておきますかね」


ともあれレシピを書き出すにはそれなりに時間が掛かるので定休日にでもギルドへ行くかなと思ったのだけど、名前だけでも先に登録しておくべきだと言われた。

あくどい商人や貴族に眼をつけられると厄介だからなのだそうだ。

営業妨害されたり脅されたり監禁されたり? うげぇぇ・・・

うん、確かに厄介そうだし面倒くさい事になりそうだ。

登録さえしてあればギルドがそう言った事も取り締まってくれるらしい。

もちろん兵士達の巡回もあるそうだが目新しい物は年には念を入れておく方がいいようだった。


リコさんに付き添ってもらいギルドで商品の登録をしていく。

これから店で出して行こうと思っている物は思いつくだけ登録しておいた。

同じ名前が無いか、似たような名前は無いか、ギルドの人が確認をしてくれた。

想像するだけで大変そうな作業に思えるのだけど、食品に関しては食いしん坊さんが居て丸暗記しているのだそうだ。

凄いけど、チビ〇子ちゃんのコスギみたいな人だろうか。

あの姿が頭に浮かんだが全く違った。『やせの大食い』そんな言葉が似合う人だった。

一通りの手続きを終えて、後は新作を出す時にまた登録にくればいいらしい。

そうそう新作なんて出ないとは思うけど(たぶん)


読んで下さりありがとうございます。

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