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6:宣伝の為の露天商

リフォームも順調に進み、後はカウンターを付けてお店の看板を作れば完成となる。

お店の名前は「おかんの丼物屋」と決めてある。

なんでこの名前にしたかって?

元の世界でやってたのが「おかんの総菜屋」だったからだ。

他に名前が浮かばなかった訳じゃない、解かり易くていいじゃないかと思ったからだ。

本当だよ? 決して思い浮かばなかったとかじゃないからね?・・・


リフォーム開始から1ヶ月後、家は完成した。

家具なんかは追々揃えていけばいいし、手が空いた時にのんびりと作るのでも面白いかもしれない。

さすがにカーテンやカーペットなんかは作れないから買おうと思う。

1LDKプラス店舗部分。4人掛けテーブル席が1つ、2人掛けテーブル席が2つ。

キッチン前のカウンター席が8つとMAXで16席。

いくら丼物とはいえ1人で店を廻すのだからそれ以上はキツイと思い16席と決めた。

万が一にも忙しくなって洗い物が貯まってもいいように、シンクは広めにした。

このシンクはご近所さんが余っているのがあるからと安価で譲ってくれた物だ。

ピカピカに磨き上げられていて中古とは思えないほど綺麗だったので感謝している。


手伝って貰ったお礼とお披露目を兼ねて寮の皆を夕飯に招待した。

振舞う料理はクリームシチューとパン、サラダにチャイ。

寮でも作って無くて店にも出さない物がいいだろうと思いコレを選んだ。

勿論大盛りでお代わりしても大丈夫なように作っておいた。

余ればなんちゃってグラタンにでもすればいいだろうと思ったのに余らなかった。


(あんたらの胃はブラックホールか!)


と言いたかったけどアマンダさんまでお代わりをしていたので言えなかった。

皆満足してくれたみたいだったのでよかったと思う。


思ったよりも素材が安く手に入り、配管工事も割り引いて貰えたりで手持ちのお金は予定よりも多く残っている。

自分用の家具は後回しにしたけど、これなら布団くらいは買っても良さそうだ。

しばらくは寝袋のままでもいいかと思っていたのでラッキーである。


翌日は商業ギルドへと出向き3日間の露天商許可を取った。

これはお店と丼物を知って貰う為で、荷車を改良してキッチンカーのちっこい版みたいなのも作った。

竃の代わりに冒険者や兵士が野営の時に使う小さな竃みたいなのも買った。

あれよ、一斗缶で作るストーブみたいなやつ。温め直すだけだからこれで十分だと思う。


露店初日、今日は丼物の鉄板とも言える牛丼にした。

営業時間は11:00~14:00までの3時間で所謂ランチタイムのみの営業だ。

お値段はお手頃に1コインの小銀貨1枚、1000円くらいにした。

他の定食屋とかだと小銀貨2枚や小銀貨1枚と大銅貨1枚だったり、高い店だと小銀貨3枚だったのだ。

丼だしこのくらいが妥当だろうと思う。

日本だとほとんどの人が好きな牛丼だけど、こっちには丼物文化がないらしいので人々の反応がどうなるか解らない。

私が作る牛丼は普通のとは少し違う。

母がよく作ってくれたカリッと香ばしい牛丼なのだ。

作り方は簡単で、砂糖醤油と生姜で下味をつけた牛肉をまずは網焼きにしてカリッとさせる。

ご飯の上に肉を乗せたらタレを掛けて出来上がり。

私にとってはこれが牛丼だったから、大人になって大手チェーン店の牛丼を食べた時は衝撃だった。

今回はどっちの牛丼にするか悩んだのだけど、母の味でもあるカリッと牛丼にした。

ほら、肉を焼くときのあの匂いがいい宣伝になるかなと・・・(打算)

でも寮の子達には大好評だったんだよ?

さぁて、町の人達の反応はどうだろうと思いながら肉を焼いて行く。


結果としては用意してた30食完売、もっともその内9食は寮の皆とアマンダさん。

そして配管工事を請け負ってくれたアンディさんも家族と一緒に来てくれた。

寮の皆は勿論の事、アンディさん達も気に入ってくれた様で嬉しい。


2日目、この日のメニューはカツ丼で営業時間と値段は同じ。

さすがにカツ丼は一般的な物と同じ作り方だ。

ただ使う肉はロース肉に限定している。

私はヒレ肉よりも脂身があるロース肉の方が好きなのだ。

そして卵は半熟で仕上げるのが好きだ。

人によっては半熟が嫌いな人も居るけど、寮の皆は大丈夫だったから今回も半熟でいく。

タレの味は出汁を利かせたちょっと甘めの関西風。

私は西日本育ちなので関東風には馴染みがないのだ・・・

今日は少し欲張って40食用意してみた。

余ったらカツサンドにして夜勤の兵士に差し入れてもいいしね。

なんて思ったのに完売だった。

デイルくんなんかはお代わりで2杯買ってたよ・・・

アンディさん達は今日も来てくれていた。ありがたや。


3日目、最終日の今日はロコモコ丼にしてみた。

営業時間と値段はは同じだけど、今回はお子様用にハーフサイズも用意してみた。

ハーフサイズの値段は大銅貨1枚、500円だ。

ハンバーグは子供も好きだし、親子で分け合っていたお客さんも居たからだ。

私もそうだったけど、子供と分け合って食べると親の方は物足りないんだよね。

どうせなら親も子もお腹いっぱい食べて欲しいと思う。

余ったら余ったでハンバーガーにすればいいので、通常サイズ40食、ハーフサイズ10食を用意してみた。


そして完売御礼である・・・

予想外だったのはハーフサイズが高齢者にも人気だった事だ。

確かに高齢者だと食が細くなるもんなぁ、もう少し数を多めに用意しておけばよかった。

噂を聞いたからと、ここまでの道を教えてくれた門兵さんも来てくれて嬉しかった。

ずっと気になっていたのだと言ってくれてお店の方にも休みの日に顔を出すからと言ってくれた。

社交辞令だったとしてもそう言って貰えるのがありがたかった。

アンディさん達はこの日も来てくれて見事皆勤賞だ。

「夫婦で仕事をしているから手軽にお昼御飯が食べられるのは助かる」と言ってくれて私としても嬉しい限りだ。


露天に来てくれたお客さんにはお店の事を聞かれたら答える感じにして、こちらからは特に売り込みはしなかった。

代わりに立て掛け看板には説明を箇条書きにしてあったからね。


メニューは日替わりで1種類の丼物のみでスープとミニサラダ付き、値段は小銀貨1枚と均一。

子供や高齢者の場合のみハーフサイズでの提供可能。

料金は前払い制で丼物受け取り時に支払う事、これは食い逃げ防止の為だ。

お昼の営業は11:00~14:00無くなり次第終了で5日営業したら2日休み。

好き嫌いやお残しはお断り。


庶民の味でお手軽に食べられるようにと考えたので、文句があるなら来るなと思っている。

だってちゃんとした定食屋や居酒屋がある訳だし。

そもそも北の外れにあるのだから、そんなに人が来るとは思えないし・・・

私としては生活出来るだけ稼げればそれでいいのだ。

ちなみに丼物の量は私の感覚で言うならば大盛りサイズだ。ハーフサイズが私の知っている並盛り。

3日間の露店で解ったのだけど、この世界の人々は割と大喰らいだった。

私の食べる量を見て「体調が悪いのか」と心配されたくらいだ。

私の世界ではこれが一般的な量だと言ったら驚かれていたけど・・・

もしかして椿ちゃん達は城で毎日大盛りサイズを出されているのだろうか。

大丈夫なのかな、城の料理がどんな物かは知らんけど。

若いから大盛りでもいけるのだろうか。

いやでも体型を気にするお年頃だしな・・・

運動すればいいと言ってもさせて貰え無さそうだし。

せめて何か噂でも流れてくればいいんだがな。


読んで下さりありがとうございます。

評価やブックマーク、アクションに誤字報告もありがとうございます。

誤字誤変換は何度か確認しても見落としが多いですね(;´Д`)助かります。


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