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23/28

23:引き抜き?

翌日、やはりと言う感じで皆酷い二日酔いだった。

私は呑んでいないので平気だけど。

そりゃあれだけの量呑めば・・・ねぇ?


という訳で、本日の丼は丼ではない。

二日酔いでも美味しく食べれる()()()()()だ。

タレに漬け込んだ刺身をホカホカご飯に埋めてその上からお茶やだし汁を掛けた物だ。

今回はアラで取った出し汁を使う。

お好みで山葵をと言いたいところではあるけど、また山葵だけが大量に消費されていきそうなので適量を添えて出す事にする。


「これは二日酔いにはいいな、さっぱりと食える」

「このタレと山葵の相性もいいな」

「山葵がもう少しあっても」

「山葵は薬味!!」

「あ、はい・・・」


「お母さん、私にも!」

「ぶっ、椿ちゃん? 館の料理人が作ってくれるんじゃないの?」

「焼き魚のチョコレートコーティングなんて食べれると思う?」

「ゴフッ なんだそれ・・・食い物か?」

「どっかの地域の郷土料理らしいんだけど無理!」

「あー、うん。無理だね、私も無理だわ・・・」


なんでそんな奇抜な物作ったよ料理人・・・

いくらどこぞの郷土料理でもさ、雇い主家族が食べれる物作るべきでしょ・・・

店内に居た常連さん達も遠い目になってるじゃないか。

チップさんは平気だったのだろうかと聞いてみれば、チップさんは城へ出向いていてお昼はいらなかったらしい。

なるほど、チップさんの反応が知りたかった気もするけどたぶんあまりいい反応はしないだろうなぁ。


そう思いながら椿ちゃんにも漬け茶漬けを出す。

勿論料金はちゃんと頂く。

そこはしっかりと線引きをしてある。


この日も13:00には完売となった。

その後もしばらく椿ちゃんはお昼を食べにやって来た。

毎回訳の分からない料理が出されるのだとかで、サンドウィッチなどの簡単な物でいいと言っても聞き入れて貰えないのだとか。

ん~、なんかおかしくないか?

今はまだ婚約者と言えども領主夫人になる訳だよね。

結婚と同時に爵位も貰うのだとも言っていた。

ようするに女主人たる椿ちゃんのリクエストが聞き入れられないとかおかしいよね。

ドレスだ宝石だと散財したいと言ってる訳じゃない、お昼ご飯だよ?

もしかして嫌がらせでもされてるのかと疑いたくもなる。

チップさんには相談したのかと聞けば、相談して口頭で注意もして貰っているしお昼はパスタやサンドウィッチなど簡単な物でとも言って貰っているそうだ。

それなのにこれか・・・

執事長や侍女長達は?

好き嫌いは駄目だと言われたって?いや好き嫌いの問題ではないよね?

これはちょっと放っておけないと思いチップさんに定休日に屋敷へ行ってもいいか手紙で問い合わせた。


が、待てど暮らせど返事が来ずに1週間が過ぎた。

ぬーん・・・


「どうしたキクノ」

「あー、リコさん。それがさ・・・」


とリコさんにこれまでの経緯を話すと、リコさんも顰め面になってしまった。


「領主館に勤めている者達は誰の紹介で来たんだったかな。

 あまり変なのは雇っていないと思うんだが・・・

 それにチップからの返事が来ないと言うのも気になるな」


リコさんは明日仕事でチップさんと会うから確認してくれるとの事だった。

私の気にし過ぎだといいんだがな。



結果として、城の王女様付きの侍女長からの紹介だったり、城の副料理長の紹介だったり。

城勤めしてるくらいだから変な人では無いと・・・いやどうだろう。

モルソンの例があるしな(根に持つよ)

身元調査とかは済んでいるんだろうけど、人柄とかも考慮しようよ・・・

領主館の使用人に関しては見直すそうだ。

チップさんのご両親が「うちの可愛い嫁になにしてくれる」とご立腹になったそうで、侯爵夫妻自らが出向いて対処してくれる事になったらしい。


そして私が出した手紙についても、やはりチップさんの手元には届いていなかったらしく平謝りしていたそうだ。

まぁチップさんが悪い訳ではないし、仕方があるまい。

侯爵夫妻が出向いてくれるなら私が出向く必要はないだろう。



そう思ったのに何故か私は今領主館の応接間にて座ってお茶を飲んでいる。

侯爵夫妻の目線と私の目線は違うだろうから一緒に人選をして欲しいと言われたのだ・・・

そりゃ可愛い娘の為ですから? 関わる事には構わないのだけども。

だけどもね?

元の世界でいうところの履歴書、こちらでは釣り書きと言うらしいんだけど。

どいつもこいつも自慢ですかね?ってな聞いても無い様な事書いてやがる。

中には「母親の祖父の従姉妹の友人の学友の弟が王家と繋がりがある」とか書いてるヤツもいたんだけど、それって身内でもなんでもなく他人だよね?

その人が王家と繋がり持ってるからなにって話じゃん。

そんなのよりも自分の良い所とか得意な事をアピールしなさいよ。

読んでいるだけで溜息が溢れる。


「キクノ殿、いかがですかな。目に留まった者はいましたかな」

「それがですね・・・

 私や椿ちゃんの居た場所ではこの様に自慢を書かれても

 就職には不利になるんですよね。

 もっと仕事に対する気構えとか得意な事とかそういった事を書かれていないと

 判断に困りますね・・・」

「なるほど。確かにこのような事を書かれても仕事とは無関係ですな」

「あの、これってやはり身分とか関係するんでしょうか?」

「さすがに城勤務となれば関係するが、館でならば身分は関係ないぞ」

「でしたら一般人、平民からも募集をしてみればどうでしょうか。

 この町の人達ならほとんどの人は顔見知りですし為人もわかります。

 それに私も椿ちゃんも一般人で身分制度の無い国でしたから

 一般人が数名でも居る方が椿ちゃんも安心出来るかもしれません」


と、言う事でダメ元で数名ほど一般人からも募集を掛けてみる事にした。

勿論、ギルドを通してである。

その方が身元も確かだし、事前にギルドの方で簡単な面接も行ってくれるので良からぬ人が応募してくる可能性が下がるのだ。

椿ちゃんが安心できる人が来てくれればいいのだけど。



「あらあら、大変ねぇ。

 それだとツバキちゃんが安心して過ごせないわよねぇ。

 う~ん、寮の事が無ければ私が行ってあげれたのにねぇ」

「アマンダさんだと私も心強いんですけどねぇ」

「そうねぇ、今姪っ子が寮母の見習いとして来ているのよ。

 姪っ子が使い物になりそうだったら考えてみようかしらぁ」


遊びに来たアマンダさんについ愚痴をこぼしてしまった。

アマンダさんが椿ちゃんの傍にいてくれたら、ホント心強いんだけどなぁ。

その為にも姪っ子さんには頑張って欲しい。

いや、引き抜くつもりはないけども・・・

あれ、まさかこれ引き抜きになってたり?・・・ 気付かなかった事にしよう。

読んで下さりありがとうございます。

皆様 雪の方は大丈夫でしたか?

作者は自分が雪だるま状態になりながらの雪掻き作業でした(;´Д`)

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