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21:デザイナーのセンス

「おかあさーんっ!」


椿ちゃんが店の中へと飛び込んで来た。

何事だろうか。


「椿ちゃん、どうしたの?」

「聞いてよー。

 お城で就任式の後に婚約のお披露目をするとか言い出してさぁ。

 デザイナーがもぉなんて言うの、奇抜過ぎるというかなんと言うか。

 大きなリボン付けまくってなにこれってなドレスデザインばかりでね。

 しかも色がね?どピンクなの!淡いピンクとかじゃないんだよ?

 蛍光色というかとにかく派手なの!

 あんなの着たら私晒し者じゃないよ、恥ずかしい!」


そう言って見せられたデザイン画は・・・

パタリと閉じて見なかった事にしたかった。

なんだろう?昭和アイドルとか場末のキャバレーのママが着てますかね?

ってな感じの色とデザインだった。

いやさ、仮にもお城のお抱えデザイナーなら着る人に合わせた色合いとデザインをね?・・・


「ね? これ着る勇気なんて無いわよ、無理無理無理無理!」

「あー、うん。これはちょっと無理だね・・・」

「でしょぉ~」


と言う事で一緒にデザインを考えて欲しいとの事だった。

私にデザインを考えろとか無茶を言う。


「つ、椿さん、待ってくださいよ。

 1人で突っ走らないで下さい・・・」 ぜぇぜぇ

「椿ちゃん・・・ チップさん置いてきちゃったの?

 だめじゃん、婚約者兼護衛なのに・・・」

「だってぇ、チップさんたらこれでもいいんじゃないかって言うんだもん!」

「え?駄目なんですか? 私達には普通なんですけど・・・」

「は?! これが普通なの? 嘘やろ、ありえん!」

「でしょぉー!!」

「え? え? えぇぇ、違うんですか?」


つまり、ドレスに関する感覚がこっちの世界と私達とでは違うと。

なるほど、別にデザイナーさんがヘッポコという訳でもなかったらしい。

いやそれにしても本人に似合うかどうかだよね。

少なくとも椿ちゃんには濃い色よりも淡い色の方が似合うと思う。


椿ちゃんと2人してうんうんと唸りながら描き出したのは淡いピンクのAラインドレス。

ただし、袖や首、胸元はレースで覆って貰う事にした。

椿ちゃんはスレンダーラインが好みのようだったけど、若いのだからふわっとしたAラインも似合うと思う。

リボンは付けずにレースと刺繍で華やかさを出すようにすれば大人可愛いデザインに出来上がった。


「やっぱりお母さんに相談してよかったぁ。

 あんなの絶対無理だもん。

 本当はさぁお母さんにもお披露目に来て欲しかったけど

 絶対嫌だろうなって思って諦めた。へへへ」

「うん、ごめんね。

 娘の晴れ姿は見たいけど、城だの貴族だのに囲まれるのはちょと・・・」

「この町での就任挨拶には来てくれるんでしょ?」

「勿論だよ。その時に2人の幸せそうな姿をじっくり見るとするよ」


椿ちゃんは大事にデザイン画を抱えてチップさんと帰って行った。

2人の後姿を見て微笑ましく思えた。

うちの子供達も、あんな素敵な相手に巡り合えただろうか。

つい自分の子供と重ねてしまった。



「おかぁさーーーんっ」

「桜ちゃん?」


次の日、今度は桜ちゃんがやって来た。

今度は何?どうせなら2人一緒にくればよかったのに。


「おかぁさん、聞いてよもぉ。

 お姉ちゃんのお披露目と一緒に私達のお披露目もやる事になっちゃってね。

 用意されたドレスがさぁ・・・

 胸元がバッサリ開いてるのよ!

 私お姉ちゃんみたいに胸育ってないのにっ!」


と見せられたデザイン画は・・・

妙に大人びたセクシー系だった。

ねぇ? これって椿ちゃんと桜ちゃんに逆のデザイン渡してない?

とは言え、さすがに胸元が開きすぎて椿ちゃんにも着させたくは無いけども。


「サクラ、待たぬか! せめて護衛を連れて走れ。

 あ、初めましてキクノ殿。

 この度サクラと婚約する事になりましたレックスと申します」

「レックス・・・ああ、末っ子王子!

 っと、失礼。初めまして、キクノです。

 ってそうじゃなくて。殿下が城抜け出して来てどうすんですか!

 しかもお供は! 護衛は! 近衛兵ー!!」

「あ、あの、いや、その・・・」

「問答無用! 護衛も付けずになにやってんの!

 桜ちゃん、椿ちゃんにデザイン見せて貰って同じデザインの色違いにしな。

 ほら危険な目に合わない内にとっとと城へ帰れ!」

「え、ええぇぇ。おかぁさーん」

「はいはい、また今度ゆっくりとね!護衛無しで来たらまた追い返すからね!

 ハティ、ちょっとこの2人送り届けてやってくれる?」

『 やれやれ世話の焼ける・・・ 』


それは私のセリフだわよ。

2人を玄関から押し出せば、スカイラーさんが息を切らしながら立っていた。


「やっぱりここでしたか」 ぜぇぜぇ

「護衛はなにをしてたのかな? んん?

 小娘と小僧に出し抜かれてんじゃないわよ!

 そんなんじゃ護衛とか務まんないでしょう」

「解っている。部下は鍛え直すつもりだ」 ぜぇはぁ

「小娘って、がぁーんっ。おかぁさーん・・・」

「小僧、私は小僧扱いなのか・・・」


なにやらショックをうけたらしい2人を馬車に押し込んでスカイラーさんは城へと戻って行った。

うん、お疲れ様だね・・・

何事も無かったから良かった様なものの、、護衛の騎士にはもちっとシッカリとして貰いたいものだ。



あれから私はお店の営業後、就任祝いで振舞う料理を考えている。

手っ取り早いのはカレーなんだけど、お祝いにカレーはなんか違う気がする。

いや、美味しいんだけどね?

串焼きは食べやすくていいけど、他にも作る人が居そうだ。

ケーキはアマンダさんが作ると言っていた。

アマンダさんのケーキはシンプルなシフォンケーキなのだけど美味しいんだよね。

何がいいだろうか。

サラダラップはどうだろう。

鳥ハムと野菜、チーズを巻けば・・・ 片手で持って食べられるし。うん、よさげだ。

そうと決まれば試作をしてみよう。

試食係は勿論デイルくん。 ちょうどタイミングよく現れたのよね。


「今夜の護衛は僕ですからね」

「あ、そうか。忘れてたや」


そうか、夜間の護衛ならサラダラップだけじゃ物足りないよね。

ポトフでも作ろうかな。短時間で作れるしね。

と言う事で夕飯はサラダラップとポトフにパン。

私はサラダラップだけでお腹いっぱいになりそうだけど。

ポトフは余れば明日の朝食に回せるし。


「 ・・・ 」


そう思ったのに余らなかった。多めに作ったんだよ?

なのにちゃっかりリコさんとスカイラーさんがテーブルに座ってたんだもんよ・・・

コントなら鍋持ったままズコーってすべるとこだったわよ。

まぁいいけども。

でもね? 食べに来るなら事前に連絡が欲しいんだが。

言っておいてくれなきゃ、分量足りません2人の分ありませんってなっても知らないからね?

読んで下さりありがとうございます。

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