20:あっという間
そんな訳でお店の営業時間外に少しずつではあるけど、増築作業が進んで行った。
城の方から業者を派遣してくれると言っていたらしいが断って貰った。
何故なら信頼できるかどうか不安だから。
ほらモルソンのジジィとかね? なんか仕込まれたりしても嫌じゃん。
ならばとご近所さんや常連さん達が手伝ってくれている。
手伝ってくれているのはいいんだけど・・・
「なぁオカン。オカンはあの3人の内誰と結婚を考えているんだ?」
「ごふっ げほんげほんっ」
「おい、お前気が早いだろ。まずは交際からだろ」
「ぐほっ げほっげほっ」
「違う違う。そういうのは男から申し込むんだからな。
まずはあの3人の内誰が申し込むかだろう」
「あのね? 皆なんでそういう話になってるのかな?
そういう関係では無いんだけど」
「「「 違うのかっ 」」」
「そんな恋愛要素これっぽっちも無いと思うよ?」
「い、いやだがな?」
「待て、これはオカンが気付いていないだけなのか」
「ハッキリした態度に出ない男が悪いんじゃ?」
「いやだからね?」
何故か私とデイルくん、リコさん、スカイラーさんの3人が恋愛関係に発展するような話になっている。
いやいやいや、そもそもね。年齢差とか・・・ 3人の年齢しらないや。
まぁ私よりは若いんだろうけど。
3人をそういった目で見た事がないので気にもしていなかったし、私の年齢も聞かれた事がない。
聞いたところで何か変化があるとは・・・あるかも。
子供扱いしてしまうかもしれない。あかん、それはあかん。
成人済みのだいの男に子ども扱いはいかんだろ・・・
うん、聞くのは止めておこう。
『 スカイラー 37 』
『 エンリコ 35 』
『 デイル 25 』
「へっ?!」
『 デイジー情報だ 』
ちょ、デイジーなんであんたがそんな事知ってるのよ。ていうかうちの子達に教えてんじゃないわよ。
37と35、まぁそのくらいなら・・・
25も歳の差カップルとかで15とか18差って人も居たからいけなくはな・・・
いやいやいや、なに考えてるのよ私。
皆があんなこと言うから考えてしまったじゃないか・・・
『 人間とは面倒な生き物だな 』
『 もっと気楽に考えればよかろうに 』
『 好きか嫌いかでいいと思う 』
ハティとノアはまだしもバスティ? あんたまだ子供よね?
『 かぁちゃんが言ってた 』
ぶっ、バスティのおかぁさーんっ!
幼子に何教えてるの! あ、種の保存、生存本能って事か。
でも早すぎね?・・・
いやいや、今はそうじゃなくて・・・
取り敢えず一旦忘れよう。
そして1ヶ月が経ち、私は腰が抜けるんじゃないかってくらいに驚く事になった。
まずはあの犯罪者たち、元領主に元町長は重犯罪者の強制労働先である陸の孤島と言われる鉱山へと送られる事が決まったそうだ。
恐らく生きて戻ってくることは無いだろうとの事だった。
元の世界で言う所の無期懲役みたいなものだろう、妥当じゃないかな。
次に、新しい領主にはチップさんが就任したのだ。
何故にと驚いたがチップさんは侯爵家の次男で領地経営も学んでいたかららしい。
なるほど、それならば納得いくよね。
それだけじゃない、チップさんと椿ちゃんの婚約も決まったとかで2人でこの町に住むのだとか。
じゃあ桜ちゃんはどうするのかと思えば、王妃様の末息子と意気投合したとかでこちらも婚約が決まったとか。
いずれは桜ちゃん達も城を出てこの町に住むつもりのようだ。
なんか急展開じゃね?とか思ったけどそうでもないらしい。
そりゃそうか、考えてみればこの世界に来てからもうすぐ1年が経とうとしている。
そっか、もうそんなに経つのか。思えばあっという間だったな。
若い子なら1年もありゃ恋もするかぁ・・・
後日手紙で『菊乃さんにこの世界でのお母さんになって貰いたい』と2人に言われた。
私でいいのだろうかと思ったけど、ある意味同郷という繋がりが安心感をもたらすのかもしれない。
元の世界の話とか他の人じゃ共感してもらえないもんなぁ。
だから「私でよければ。可愛い娘が2人も出来るのならば嬉しい」と返事を返した。
そして町長にはリコさんが就任するようだ。
本当はスカイラーさんになるはずだったらしいのだけど、騎士団長の後任が決まらなかったらしい。
リコさんは兵士団を辞めるのかと言えば辞めずに兼任するのだそうで・・・
「騎士団と違って兵士団はある程度自由が利くからな。
それにうちにはデイルという優秀な副長もいるしな」
「嫌だっていったのに、巻き込まないで下さいよ~・・・」
「えーと、頑張って?
あれ、でもそれだと私の護衛とか出来ないんじゃない?」
「それとこれとは別だな!
町長の仕事と言ってもほとんどの事は文官がやる訳だし、俺は最終確認と
ちょっとした雑務や交渉だけでいいからな。
そこまで忙しくはないだろう。
兵士団と兼務できないのであれば断るとも言ってあるし、
腕のいい文官を寄越してくれるだろうさ。ニヤリ
それとな。前の町長の家や土地は国が没収したんでな。
新たな町長の住いとしてここの隣の土地を購入した。
なので今後はご近所さんって訳だ」
「3人で住む事に決めちゃったんですよ、隊長ったら・・・」
「へぇ、3人で住むのか。3人共仲良し兄弟みたいだもんね。
ん? 隣に住むならうちの増築しなくてもよかったんじゃ」
「いや必要だろ。夜は夜で泊まり込むからな」
「へ? ご近所なのに?」
「護衛は護衛だからな」
「なるほど? そういうもんなの?」
なんか誤魔化されている気がしなくもないけど、確かに不審な物音なんかは隣家じゃ解らないもんね。
『 なるほど、そうやって外堀から埋めて 』
『 兄者、黙ってろ。キクノに聞こえ・・・ 』
「何がどうしたって?」
『『 なんでもない 』』
ハティが何か言っていたようだけど、ボソッと言っただけなので聞こえなかった。
チップさんが新領主でリコさんが新町長に決まったという噂はすぐに流れた。
常連さん達もご近所さん達も知ってる人が領主や町長に決まって喜んでいる。
ここで顔を合わせているから2人の為人も知っているし安心したのだろう。
これできっと変な揉め事も無くなるはずだ。
皆無とは行かなくとも、これまでに比べればずっと平穏に暮らせるようになるんじゃないかな。
皆が安心して暮らせるのは良い事だ。
「なぁオカン。
皆に声を掛けて新領主様と新町長の歓迎会というか祝いをやらないか」
「上町に住む貴族連中はどう思ってるか知らねぇが俺達は大歓迎だしな」
「領主や町長なんてもん、苦労も多いだろうがよ。
きっと俺達平民の事も考えてくれるだろうから激励の意味も込めてな」
「どうかな、オカン」
「いいんじゃないかな。町もそれで盛り上がるならチップさんもリコさんも
やる気も湧くだろうし。
チップさんなんかは婚約祝いも含めての歓迎会でもいいね」
「お、領主さまの婚約か。そりゃめでたい」
皆でどんな風に歓迎会を開くか話し合っていく。
就任日に広場で挨拶があるらしいので、それに合わせて露店を開くのがいいかもしれない。
私も何か出店しようかな。
読んで下さりありがとうございます。
リアクションや誤字修正、いつもありがとうございます。
なかなか誤字脱字に誤変換が減らずすみません(;´Д`)




