17:チンピラの後ろには
営業再開後、数日は特に問題も無く穏やかに過ごせた。
異国の人々や近隣の町の商人とのトラブルにもあわなくてよかったと思う。
もしかしたら私の知らない所で兵士団の皆が対応してくれていたのかもしれないけど。
最近はなるべく大人しく猫を被っているので、出来ればこのままの生活を送りたいものだ。
常連さん達はお祭りの土産だと言って色々と差し入れてもくれた。
薄いストールや南国風のサンダル。そして圧倒的にエプロンが多かったんだけど、これってお祭りには関係無い様な?
エプロンは頻繁に使うし汚れたりもするから幾らあっても助かるけども。
どうみてもガーデニング用のエプロンまである。
ふむ、裏庭に小さな菜園でも作ってみようか。モンペもあるし。
モンペにエプロン・・・ うん、合わないね。
やるならワークシャツにズボンでエプロンかな・・・
このまま平穏な日々が続くのかと思えばそうでも無くて。
なんか訳の分からない男達がやってきた。メンドクセ・・・
「おい、おばさん。誰に断って此処で商売してんだ」
「俺達に挨拶もねぇとはいただけないなぁ」
「まぁ知らなかったのかもしれないが俺達はここ等を仕切ってるんだ。
ここで商売続けるならショバ代払ってもらおうか」
なるほど、この世界にもこうゆうチンピラっているんだ。
しかも今更「誰に断って」とか言われてもな。
「ギルドの許可は得ていますし、ここは私の持ち家ですし土地も私のですね。
ショバ代なんて訳の分からない物払う気はないですよ」
「あぁ? なんだと? 商売できなくすんぞ!」
「ほう? 脅せばどうにかなるとでも?
そもそも仕切っていると言ってるけど、何を?
何を仕切ってるのかな?商業組合でも無いだろうし?」
「このばばぁ。ここ等辺はうちのシマなんだよ!
黙ってショバ代出しやがれ!」
「シマ・・・ そんな言葉もあるのか。
まったくめんどくせぇ・・・ 人が静かに暮らそうとしてれば・・・」
「何をゴタゴタと」
コンッ
1人のチンピラが掴みかかって来たので手に持って居たオタマで眉間をブッ叩く。
「ぐぁっ」
「なにしやがる、ばばぁ!」
「うっさいなぁ、そんなちょっと当たっただけで大げさな。
それしきで騒ぐならとっとと帰ってママのオッパイでも吸ってな!」
「なっ」
ちなみにこのお玉、ステンレスやアルミなど無いので鉄製で軽くはないんだけどね。
だとしても所詮オタマだ、騒ぐほど痛くもないと思う。
『 蹴り出すか? 』
『 蹴り飛ばすか? 』
『 引っ掻くか? 』
「うん、急所蹴りしちゃっていいよ」
「何をコソコソ話して・・・ うぎゃぁ」
「あ、あにき! ぐへっ」
「お前等どうしう・・・ぐおっ」
3頭に蹴り蹴りされて、まぁ楽しそう。
3頭ともストレス発散で思い切り蹴っていいからね。
バスティは爪とぎもしていいからね。ただガブガブ噛むのは辞めなさいね。ばっちぃわよ。
私は眺めていようかなと思ったのに、ガッシリと肩を掴まれた。
「おぃ、ババァ。うちの若いもんが世話に・・・ぐっ・・・おっ」
ゴンッと裏拳を喰らわせた。
自分でばばぁと言うのには抵抗は無いけども、人に言われると腹立つんよなぁ。
「誰がばばぁだ、誰が! 口の利き方もしらんのかこの若造が!
いいか?脅せばなんでも思い通りになると思うなよ?
喧嘩売るなら相手の力量見極めて売りやがれ!
いまどきショバ代がどうのこうのと時代遅れなんだよ!
今のご時世皆ハイテク駆使して資金調達してんだよ!
あ、ここにハイテクとかないんだった・・・
だったら手足使って汗水たらして働きやがれ!
そもそもな、こちとら勝手に呼ばれたあげくポイ捨てされて
やっとこさ生活も軌道に乗り始めてんだ。
貴様等如きにばばぁ呼ばわりされる筋合いもなきゃ、くれてやる金もねぇよ!」
言いながら思い出して腹が立ったのでゲシゲシと蹴りまくった。
まぁ八つ当たりとも言う・・・チンピラ相手だから気にしないけど。
「あの、おかん? そいつ泡吹いて白目になってるから返事出来ないぞ」
「ん? ほんとだ・・・」
「ついでにあっちの3人も白目になってるぞ・・・」
「なんだ根性ねぇな。ハティ、ノア、バスティ一旦止めて?」
キッチンで洗い桶に水を溜めて、チンピラ共にバシャッと掛ける。
「う、うぅ・・・」
「気が付いたかな?
さてと、後ろに居るのは誰かな?
元締め、大元がいるよね? ん?」ニッコリ
「だ、だれが言うもんか」
「おかん、こいつらここらで商売してる家に同じように言ってくるんだ。
払わないと店壊されたり商売道具取り上げられたりで皆困ってたんだよ」
「そうそう、アンソンんとこなんて利き腕おられてな・・・」
「ほぉ・・・ 兵士団や騎士団は動いてくれないの?」
「取り締まってくれてはいる。
だがいつのまにか釈放されてんだよな・・・」
「へぇー、つまりは裏に居るのは町長か領主、もしくは両方がグルかってとこか。
今までそれがまかり通っていて、兵士団や騎士団でも手を出せない。ねぇ・・・
それって逆に言えば調べればボロボロとやましい事が出て来そうだよね」
「おかんおかん。悪い顔になってる」
「え? そんな事はないよ」
だってねぇ? 私がどうこう出来る問題じゃないもの。私じゃなければ・・・
ハティ達なら出来たりするとか?
『 悪事の証拠が欲しいのか 』
『 町長ってあのチビハゲか 』
『 領主はあの口が臭いちょび髭だな 』
「へ?見た事あんの?」
『『 前の主 チビハゲが殺した 』』
『 俺のかぁちゃん、ちょび髭に殺された 』
「は?! おのれ・・・ 許すまじ」
「どうしたおかん」
居合わせた常連達と非番で来ていた兵士団の子にどうやら町長がハティとノアの前の飼い主を殺したらしい事と、バスティの親は領主に殺されたらしい事を伝えた。
「バスティの親が先に襲ったとかではなく?」
『 かぁちゃんは人間を襲う様な事しない 』
「人を襲う事は絶対にありえないってよ。
子育て中の獣は警戒心強いからね。
まして生後2か月なら子供の傍からあまり離れないさ」
「そうか、疑ってすまなかったなバスティ」
「ハティ達の元の飼い主の件にしても事件扱いになってないのも変じゃね?」
「戻って資料を読み返してみますね」
きっと正攻法では無理なんだろう。
まったくお貴族様とやらはろくなもんじゃないな。
とは言えこのままってのもなぁ。
『 悪事の証拠 持って来るか? 』
『 探してみるか 』
『 かぁちゃんの毛皮も取り返す 』
「は?! 待って待って。毛皮? え?毛皮狩りにあったて事?
おのれぇ、同じように毛毟りとったろか」
「あのおかん、落ち着いて下さいね?」
「あ、うん。大丈夫ちょっと頭に血が上っただけ」
「いやだから落ち着いて下さい・・・」
あのチンピラ共はぐるぐるの簀巻きにして転がし、リコさん達が到着するのを待つ事にした。
おかしいな、ショバ代寄越せって言うチンピラ相手にしてたハズなのに、事が大きくなっていくきがする・・・ あれ?
読んで下さりありがとうございます。




