16:オムライスは飲み物?
2人揃ってどうしたのと問えば、様子が気になって来てみたと言う。
様子が気になるって、ハティ達も居るしデイルくんだっている。
何も心配する事は無いと思うのだけど?
「2人心配性だね。デイルくんも居るし大丈夫だよ?」
「いや、そうではなくてだな」
「そうだ、祭りは楽しめたのか?」
「うん、お陰様で楽しむ事が出来たよ。
懐かしい味にも出会えたし」
「懐かしい味とは?」
2人にたい焼きの説明をすれば興味を持ったようだ。
「隊長は寮に戻ればありますから」
「ずるいぞ、私のは無いのか」
「えー、寮の皆の分しか買ってませんよ~」
「キクノー、デイルが私に冷たい」
「いやそれ仕方なくない?」
「がーん」
ちょっと可哀そうなので私の分を分けてあげようかな。
このまま立ち話をするのもなんなので、中へと入って貰う。
たぶんこの2人も夕飯食べるよね、一応は聞いてみるけども。
「リコさんスカイラーさん。2人も夕飯食べていきます?」
「「 勿論! 」」
なにが勿論なんだろうか。
このパターンが定着しそうな気がする・・・
たい焼きはデザートとして出すことにして、夕飯を作り始める。
3人にはコーヒーを飲みながら待っていて貰った。
出来上がるまでの間、デイルくんは何処へ行ったのか何を買ったのかとあれこれ聞かれていて大変そうだった。
2人共仕事だったから羨ましいのだろうか。
「はい、出来たよ! お待たせ!」
「「 待ってました! 」」
「あ、僕運ぶの手伝いますね」
デイルくんが配膳を手伝ってくれた。
出来立てのホカホカしてるうちに食べたいもんね。
「いただきまーす」
「なぁキクノ。いつも気になっていたのだが
そのイタダキマスとはどういう意味だ」
「俺もそれ気になってた」
「あー、これは食前の挨拶でね。
農家さんや漁師さん、冒険者さんなど食材を提供してくれている人に
感謝をするのと、獲物になってくれた生き物たちにも感謝をするって意味が
あるんだよ。日々の糧をありがとう、命を頂きますありがとうってね」
「それも故郷のしきたりですか?」
「しきたりというか、なんだろうな。普通に言ってたからなぁ」
「獲物にも感謝をか、俺もそれマネしようかな」
「僕もそうしようかな。作ってくれた人への感謝」
「イタダキマスか。いい考え方だな」
3人もいただきますと手を合わせてから食べ始めた。
そうか、この世界の人々はそういった習慣がなかったもんな。
まぁ悪い事ではないし、感謝をするのは良い事だと思う。
おかしい・・・
オムライスって飲み物だったっけか。
カレーライスはさ、よくカレーは飲み物だと言う人も居たじゃん?
オムライスでは聞いた事がないんだけども私が知らなかっただけ?
まさかねぇ・・・
デカ盛りですかねってな量が一気に吸い込まれ・・・飲み込まれていった。
そんなに急いで食べなくてもシッカリと噛んでいただきたい・・・
ちゃんと噛んで食べないと胃を悪くするよ?(大丈夫そうだけども)
あっと言う間に無くなり3人は満足そうだった。
喜んでくれたならいいんだけどさ、でも作った方としてはもう少し味わって欲しかったりもする。
デザートにはたい焼き。デイルくんと私は違う物にした。
昨日作っておいたレアチーズケーキだ。簡単に出来て美味しいんだよね。
「む、そのケーキも旨そうだな」
「キクノ、そちらも食べたいのだが・・・」
「はいはい、そう言うと思ったよ」
そう言うと思ったので予め切り分けてある。ただデイルくんのはちょっと大きめにしておいた。
飲み物は濃い目の紅茶にして、ノンシュガーにした。
緑茶が欲しいけど見当たらないんだよね。いつか見つけられるといいなぁ。
食べ終わり少し談笑した後に3人は帰って行った。
祭りは終わったけど、まだ騒がしいのでお店は3,4日後からの方がいいみたいだ。
確かにね。露天の人達は皆ほがらかでいい人だったけど、歩いている人の中には柄が悪そうな人達もいたもんな・・・
ああいうのに絡まれたくは無いし、4日後から営業再開しようと思う。
再開初日はホイコーロー丼の予定だ。
これは兵士団の皆やアンディさんからのリクエスト。
私は野菜多めで作っているのだけど、ソースの味が気に入ってくれているらしい。
手軽に食べれるのは勿論、野菜もしっかりと食べて欲しいからね。
さぁて後4日、のんびりと過ごそうかな。
と思ったのだけど、すっかり忘れていた。
季節について聞かないと・・・
冬があるならその準備もしないとだし。
そう思ってハティと一緒にアマンダさんを訪ねた。
「季節?天候の事かしら。そうねぇ。
1年中ほぼこんな気候なのよ。ただ数年に一度、嵐が来るわね。
前兆が見られたら騎士団や兵士団から注意喚起されるからすぐわかるわよ。
キクノの故郷はどんな天候だったのかしら」
なるほど、季節という感覚がないのか。
私は四季について説明した。
私の故郷では春夏秋冬4つの季節があり、夏は暑くて冬は寒いという事。
それとは別に梅雨という雨季もある事。
夏には台風と呼ばれるちょっとした嵐の様な物が起きる事。
「まぁ、そうなのね。
それだとその季節によっては服も変わってくるのかしら」
「そうですね、夏は薄着ですし、冬はこんもり厚着になりますね」
「あらあら、大変ねぇ。
でもその雪と言うのは見てみたいわねぇ。
一面の雪景色ってきっと真っ白なのでしょう?素敵ねぇ」
「寒いですけどね、綺麗なのは綺麗ですよ。雪掻き前なら・・・」
そう、降ったばかりの新雪なら綺麗なのよ。
でも写真とかで見るだけでいいや。実際に住んでると大変だもの・・・
ともかく、アマンダさんに聞いて解ったのは冬の準備とかは必要ないと言う事だった。
『 雪、見たいのか? 降らせるか? 』
「ゴフッ」
ハティ? 降らせるって何? え?待って降らせれるの?!
確かに名前の由来は神話からだけど、でもあれって月を食べて月食を起こすって話であって雪は関係ないよね?
『 我の属性は氷だからな 降らせることは出来るぞ 』
「マジか・・・」
「キクノ、どうしたの?」
「あー、アマンダさんが雪を見たいと言ってたので
ハティが降らせようか?と・・・」
「あらまぁ、ハティ凄いわねぇ。そんな事が出来るの?
でもきっと皆おどろいちゃうわね。
そうねぇ、このお部屋にちょっとだけって出来るかしら」
『 造作も無い 任せるが良い 』
「可能だそうですよ」
『 桶を用意できるか? 』
「アマンダさん、桶ってあります?」
「洗濯桶ならあるわよ? 持って来ればいいかしら」
『 桶の中に振らせれば部屋も濡れずに済むであろう? 』
ハティは得意げにフンスと鼻を鳴らすと、用意された桶の中に雪を降らせ始めた。
おぉぉぉ、サラサラのパウダースノーだ。
「ハティ、凄いな」
『 ふふふ 』
「まぁフワフワで冷たいのね。これが雪なのね。
うふふ、ハティありがとう。とても嬉しいわ」
アマンダさんが喜んでくれてハティも満足げにしていた。
後片付けをと思ったけど、溶けるまで眺めて居たいとの事だったのでそのままにして帰宅した。
アマンダさんはお礼にとハティ用にお肉を持たせてくれた。
気を遣わせてしまってなんだか申し訳ないと思ったけど、その後も時々ハティに雪を見せて貰っていたなんて知ったのは遥か後の事だった。
読んで下さりありがとうございます。




