15:お祭りとたい焼き
天気も良いので適当に屋台で買ってからデイルくんのオススメ場所へとやってきた。
そこは町が一望できる小高い丘になった場所だった。
「この丘、町が一望できるから、疲れた時なんかは1人で来るんです。
町から少ししか離れてないのに、訪れる人もほぼ居ないですからね」
「見晴らしが良くて素敵な場所なのにね」
「ええ、ここでゆっくりお昼を食べましょう」
「そうだね、少しのんびりしようか」
デイルくんは予め準備していたのだろう。
ピクニックシート代わりのブランケットを地面に広げてくれた。
2人でそこに座り、買って来た物を広げていく。
『 食べても良いのか 』
『 腹減ったな 』
『 いい匂い 』
「「 ・・・ 」」
何処から現れたのかな君達は・・・
留守番をしていたはずのハティ達がちゃっかりと座っている。
『 ちゃんと人前では姿を見せてはいないぞ 』
『 隠れてたからな 』
『 ぶつかったり踏んだりもしてないよ 』
「いやそういう問題じゃないよね?留守番はどうした・・・」
『 戸締りはした 』
つまりは祭りに来てみたかったという事でいいかな?
それならそうと最初に言っておいて欲しかった!
「足りないですよね。
僕ひとっ走りして買ってきますね」
「ごめんよ・・・」
『 ならば我に乗って行くが良い 』
ハティがデイルくんを咥えて、ぽいっと背中へ放り投げた。
「えっと、これは・・・」
「乗せていくって・・・」
「そ、そうですか」
町の手前でおろすようにと言い聞かせて見送った。
10分もすれば戻って来たのだけど、荷物が多すぎやしないか?
何故そんなに買い込んだ・・・
「途中でハティのお腹が盛大に鳴っていたので多めに買ってきました」
「へ?!」
ちょっと、どういう事かな?
朝しっかりとご飯あげたよね? げふって言ってたよね? おかしいな
それなのにお腹鳴ったの? やめてよね、ご飯あげてないみたいじゃん!
『 いやその、匂いに釣られて・・・面目ない 』
まぁ涎垂らすよりはいいか・・・
代金を払おうとしたけどこれも受け取って貰えなかった。
うーん、困ったな。
「気にしないで下さいね。
こういう時くらい格好つけさせて下さいね?」
「そ、そう? じゃぁ今回は甘えておくね。ありがとう」
今度こそゆっくりとお昼ご飯を食べ始めた。
スパイシーな串焼きやチーズがたっぷり掛かったマカロニ。
香ばしいハードパンやふんわり丸パン。
飲み物はシークァーサーみたいな柑橘系だった。
「どれも美味しいね」
「そうですね、祭りでしか味わえないですしね」
『 この肉旨い、今度作ってくれ 』
「あんまり味が付いたのは駄目なんじゃ・・・」
『 たまにならばよいではないか 』
「たまに・・・ね?」
お腹いっぱいになると3頭は帰っていった。
なんだ結局は食べ物の匂いに釣られて来ただけか!
私達はもう少しだけゆっくりする事にした。
美味しかったから、ちょっとだけ食べ過ぎたんだよ・・・
「キクノさん、ここでの暮らしには慣れました?」
「そうだね、ご近所さんや兵士団、騎士団。皆優しくてさ。
いつも気に掛けてくれているから大分慣れたよ」
「そうですか。
何か困ったりする事があれば遠慮なく言ってくださいね。
僕もですが、皆キクノさんの事気にしてますから」
「そう言ってくれてありがとう。
困ったり悩んだりした時はよろしくね」
「そう言いながらキクノさん、あまり頼りにしてくれないですよね?」
「そんな事はないよ? 基本あまり悩まないからかも。
当たって砕けろ的なところあるから・・・」
「いやそこは砕ける前に悩んでくださいよ・・・」
「ハハハ・・・」
あまり話し込んでも遅くなってしまうので切り上げて、再び露店を見て廻る事にした。
まだ半分も廻れていないらしい。
1日で全部廻るのは無理だろうな、だから3日間もあるのかもしれない。
日本だとタイ焼きやたこ焼きが定番なんだけど、ここである訳も無く。
と思ったらタイ焼きがあったよ。 マジで?
ド・ウォール名物たい焼きって書いてある。
あれ?ド・ウォールって何処かでも聞いたような・・・
あぁぁ、確か木彫りの熊!!なるほど、なんか納得した。
「デイルくん、あれ食べよう。たい焼き!」
「たい焼きとは?」
「私の故郷のお菓子! 甘くて美味しいんだよ」
「へぇ、キクノさんの故郷のお菓子ですか」
「まさかここで出会えるとは。 お兄さん、2つ下さい!」
「漉し餡 粒餡 カスタード、どれにするかい?」
「カスタードもあるの?! 悩む・・・
じゃぁ粒餡2つは今食べるので持ち帰りで3種類を・・・
ハティ達も食べるんだろうな。7個ずつで」
「はいよ、毎度!」
今度はデイルくんよりも先に支払いを済ませる事が出来たけど、デイルくんはちょっと残念そうだった。
いやいや、少しは払わせてよ・・・
たい焼きを受け取り2人でアツアツを頬張る。
「うっまぁー!これよこれ。この甘さ。懐かしい」
「確かに優しい甘さが美味しいですね。僕もお土産に買って帰ろうかな。
お兄さん持ち帰りで粒餡のを10個お願いします」
「へい、毎度!」
2人で食べていると人だかりが出来てしまっていた。
「気にはなっていたけど見慣れないし」
「でも、美味しいんでしょう?」
「色はちょっとあれだけど・・・」
「異国のお菓子なんでしょう?」
そんなに気になるなら食べればいいのに。
仕方が無い、ここはちょっと後押しするか。
「この中に入っている黒いの餡子って言うんですけどね。
材料に使われているのが小豆と言う豆なんですが。
便秘解消、美肌効果、貧血予防、むくみ改善、冷え性改善と女性には
すーっごくいいんです。しかも美味しい!美容と健康に是非お勧め!」
「美容と・・・」
「健康・・・」
「冷え性にいいならかぁちゃんに買って帰ってやるか」
お店に人が押し寄せて売り子のお兄さんは一気に忙しくなったようだった。
たい焼きフィーバー、おきるといいなぁ。ふふふ
そう思いながら家に戻る事にした。
まだ全部は廻れていなかったけど、また来年のお楽しみと言う事で。
「楽しんで頂けましたか?」
「うん、一緒に廻ってくれてありがとう。
デイルくん時間が大丈夫なら夕飯食べて行く?」
「キクノさん疲れてませんか?」
「楽しかったから疲れてないよ。デイルくんこそ疲れたんじゃない?」
「いえ、僕も楽しかったので疲れてはいませんよ」
「じゃぁ食べて行ってよ。簡単な物しか作らないけど」
「いいんですか? やったぁ、ご馳走になります」
さすがにカレーは煮込みたいから無理だけど。
そうだな、ふわとろオムライスにしようかな。
確か以前作った時にデイルくんも気に入ってくれていたはずだ。
後はサラダとコンソメスープにでもしよう。
そう思いながら辿り着いた家の前にはリコさんとスカイラーさんが立っていた。
なんかデジャブ・・・
読んで下さりありがとうございます。




