14:お祭り
体調も元通りとなり、のんびりと休日を過ごして居た午後。
いきなり外が騒がしくなった。
なんなのよっまったくもぉ。
「あんたもわかんねぇ人だな。しばらく店は休みだつってんだろ!」
「五月蝿い!私はここの店主に用があるのだ。庶民は引っ込んでおれ」
「引っ込むのはあんただろう。ここは庶民区だ、庶民が居て当たり前だろうが」
「その庶民区にわざわざ足を運んでや・・・(ゲシッ)ぎゃぁ」
「うっせぇわ!!人ん家の前で何わめいてやがる!
こちとら病み上がりで機嫌が悪いんだ!静かにしやがれ!」
「ああ、おかん。体は大丈夫なのか。
すまんな、追い払おうとしたんだがこいつがしつこくてよ」
「うん、大丈夫。心配かけてごめんね。
後はこっちで対処しとくよ」
「今他の奴等が兵士団の連中を呼びに行ったからな」
「そっか、ありがとう」
どうやらまだどこぞの貴族家から使いの人がやってきていたようだ。
毎度毎度迷惑なんだが・・・
せっかくののんびりタイムが台無しである。
『 埋めるか? 』
「だから埋めるのは駄目だって、一応生きてるし」
『 では息の根を止めるか 』
「犯罪になるから止めようね」
『 食ってしまえば 』
「お腹壊すから止めようか」
『『『 仕方が無いから踏みつけるか 』』』
「まぁそれくらいなら・・・」
余りにもうるさいので最初に蹴りを入れたのは私ではあるけども、皆もうちょっと手加減を考えて欲しい。
「其方が店主か。 私と一緒に来ても・・・うぎゃぁ」
ドカッ ボスッ ドスンッ
3匹に乗られたら重いだろうね。
というか息出来てる? なんか顔色悪くなってるけども。
「ぼげっ ほげふがっ」
「ちょっと何言ってるのかわかんなーい」
「儂も聴き取れんからこのままでいいんじゃないか」
常連のおっちゃんと2人でしらばっくれておいた。
祭りが終わるまでの間、常連の皆で時々様子を見に来てくれる事になっていたらしい。
おっちゃんは「来てみてよかった」と言ってくれた。
ホント皆良い人達だよ、ありがたいね。
おっちゃんと話をしながら兵士団が来るのを待って居れば、リコさん達がやって来た。
「こいつか。まったく最近の貴族は礼儀も弁えないのか」
「ハティ達が押しつぶす前に連れて行って貰えるかな」
「分かった。この家には抗議文を送っておこう」
「うん、お願い」
ハティ達から貴族の使いの人を受け取るとリコさん達はそのままズリズリと引き摺っていってしまった。
いいんだろうかあの扱いで・・・
見送った後、気分をスッキリさせるためにお風呂に入る事にした。
と言うのは建前で、ハティ達を洗うつもりだ。
いやだってね? あの男に乗っかったのはいいけどなんか変な匂いが付いてるんだよ。
ジジ臭い香水? はっ、まさか加齢臭・・・
なので洗おうと思ったけど気取られてはいけないので、私がお風呂に入ると言う建前で準備をしている。
『 風呂か。一緒に入る 』
『 俺も 』
『 苦手だけど入ろうかな 』
『『『 変な匂い付いたからな・・・ 』』』
「やっぱり皆もそう思ってたんだ・・・」
予想外にもすんなりと入ってくれる事になった。
それだけあの匂いが嫌だったのだろう。私も嫌だけどさ。
みちっ
流石に大型獣3頭と一緒だと狭かった。みっちみちの鮨詰め状態だ。
これは風呂場の拡張をしたほうがいいのだろうか。
『『『 普段は要らないから心配無用! 』』』
「いやそこはたまには入ろうよ・・・」
猫はともかく犬は匂いが・・・ね?
『『 我等は犬ではない! 』』』
狼だったね、ごめん。でも狼でも匂いは出ると思うんだよ?
ほら、視線反らしたじゃん!
そんなこんなでワイワイ騒ぎながらのお風呂で、少しのぼせてしまった。
シャワーにしておくべきだった・・・
その後は何事もなく、祭りの最終日となった。
「キクノさん準備は出来てます?」
「うん、出来てるよ。デイルくん今日はよろしくね」
「任せて下さい。楽しみましょう」
逸れると大変だからと手を繋ぐ事になった。少し気恥ずかしい。
町中に近づくにつれ、お肉の焼ける香ばしい匂いや何かのふんわり甘い匂いが漂ってくる。
音楽が流れ人の声が響き渡り、賑わっているようだった。
「何処か見てみたい店とかあります?」
「うーん、どんな店があるのかも分からないからなぁ。
まずは見て歩こうよ」
「分かりました。絶対に僕の手を放さないで下さいね」
「うん」
歩きながら祭りの説明をして貰った。
大昔にやってきた異世界人が知恵を授けてくれたお陰で作物がよく育つようになったので、豊穣を祝い異世界人への感謝を忘れない様にするための祭りなんだそうな。
なるほどね、農業に詳しい人だったんだろうか。
そのお陰で作物の種類も豊富だし見た事ある物が多いのかもしれない。
私も先人に感謝しないとだな。
立ち並ぶ露店は色取り取りでいかにも異国風な物が多い。
中国や韓国、台湾のようなアジアンテイストな物から、中東っぽい物、北欧っぽい物まである。
なかでもアフリカの民芸品っぽい物があったのには吹きそうになった。
ほら、あの木彫りの謎のお面とかさ・・・
さすがに象だのライオンだのの木彫り人形はなかったけど、魔物の人形はあった。
なんでも強い魔物の人形は厄除けになるのだとかで人気があるらしい。
ふむ、ならば1つ買っておいたほうがいいだろうか。
あのラー〇ンっぽいのが気になる。
何故かうちにもフィギアがあったんだよね。なんでだろう・・・
持ち歩いても邪魔にならない20㎝サイズのを購入した。
玄関先に置いておくのが一般的なのだそうだ。
玄関先・・・ うちだと店先になるじゃん。
だったらもう少し大きいのにすればよかったかもしれない。
「大きいのも買いますか?
配達先を兵士団の詰め所にしておけば後日届けますよ?」
「そうだね、そうさせてもらおうかな。」
よからぬ輩も増えているからちょくせつうちに配達して貰うのは止めた方がいいとの事だった。
せっかくならと1mサイズのをデイルくんが購入してくれた。
自分で払うと言ったのだけどこういうのは転居祝いや新築祝いに家族が贈る事が多いようで、是非贈らせて欲しいと言われたのだ。
それでも迷っていたらお店の人にも「男の顔を立ててやんな」と言われてしまったので、甘える事にした。
今度何かお礼をしようと思う。
「デイルくん、ありがとう」
「いえ、気にしないで下さい。僕も贈る事が出来て嬉しいですから」
「そう? 今度何かお礼するね」
「お礼なんていりませんよ。とは言ってもキクノさんは気にしそうですよね。
でしたらその内またカレーをご馳走して下さい。
僕キクノさんのカレー好きなんですよね」
「カレーでいいの?じゃぁ近いうちに作るね」
「やった!ありがとうございます」
「お礼を言うのは私の方だよ、もぉ」
ふふふと2人で笑い合う。
他の店でも色々と購入した。
アジアンテイストなアクセサリーや香辛料。
他にも普段着によさそうなワンピースなんかも買った。デイルくんも北欧調のセーターを購入したようだ。
一通り見て歩いたので休憩を兼ねてお昼ご飯を食べる事にした。
読んで下さりありがとうございます。




