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11:従魔とピアス

ハーブティーを入れて席に着く。


「それで2人揃ってどうしたの?」

「兄貴から祭りについては聞いたか?」

「全国各地から人が集まるって賑やかな祭りになるんでしょ?

 近隣諸国からも商隊がきたりするって聞いたよ。

 あー、後は人身売買が残ってる国があるから気を付ける様にとも聞いたな」

「んむ、それでだな。キクノは動物は好きか?

 動物と言っても魔獣になるが・・・」

「基本的に動物は好きだよ、軟体動物と多足昆虫で無ければ・・・」

「そうか、それならば従魔契約をしてみてはどうだろうかと思ってな」

「従魔契約?」


リコさんが説明してくれた。

一般的に従魔契約は魔物使い(テイマー)が行うのだそうだが、相性が良ければ魔物使い以外でも契約を結ぶ事が出来るらしいのだ。

とは言え、何処で魔獣と出会えばいいのだろうか。

ペットショップみたいな店でもあるんだろうかと思ったが違った。

冒険者ギルドが親を亡くした子魔獣や魔物使いに捨てられた魔獣を保護しているのだそうだ。

そう言った保護されている子達と会って見て相性がよければと言う事らしい。


「魔獣の種類にもよるがボディガードにもなるんだよ」

「いざという時の連絡係にもなりますしね。

 それにちょっとしたお使いなら出来る子も多いんですよ」

「勿論俺達も巡回は強化するし、非番の奴等が様子を見に来たりもするが。

 早朝や夜間は手薄になるからな」

「確かに夜間はちょっと心配かな。

 普段なら特に気にしないけど、人が増えるとなるとな。

 ここは町外れで人通りも少ないし・・・

 明日にでも冒険者ギルドへ行ってみようかな」

「明日であれば僕が非番なのでご一緒しますよ」

「ありがとうデイルくん。

 リコさんもスカイラーさんも心配してくれてありがとう」


話が終わると3人は帰って行った。

魔獣か、いったいどんな子達がいるのだろう。ちょっと楽しみだ。




翌日、お昼過ぎにデイルくんがやって来た。

午前中は依頼を受ける冒険者が溢れているので、比較的すいているこの時間に行く事にしたのだ。

冒険者ギルドは商業ギルドの横にあった。

中へ入り受付で用件を伝えるとギルドカードの提示を求められたので提出する。


「ああ、例の丼物屋の方ですか。

 それでしたら身元保証人もしっかりしてらっしゃいますし心配ありませんね」

「例の?・・・」

「職員や冒険者の間で噂になっているんですよ。

 目新しくて旨くて手軽に食べれる店があると。

 私も行ってみたいのですけど中々タイミングが合わなくて」

「噂ですか。機会がありましたら是非お越しくださいね。お待ちしております」


その後は担当の職員さんへと引き継がれ、保護された魔獣達が居る場所へと案内された。


(ふぉっ、こ、これは・・・)


案内された先に居たのは、ゲームや映画で見た事があるような魔獣達だった。

やっと乳離れが終わったような小さな子や体に傷が有ったり欠損が有る子、明らかに栄養状態がよろしく無い子まで居た。

あー、なんだか保健所や保護施設に居た子達を思い出して泣きそうになってしまった。


「やっぱり驚かれますよね」

「あ、違うんです。驚くというよりも思い出してしまって」


私が居た世界には魔獣は居なかったけど、無責任な飼い主に捨てられたり虐待を受けて居たりした子を保護する施設があったのだと話した。

預かりボランティアやミルクボランティアをやっていたんだよね。

ここに召喚された時に誰も預かっていなくてよかったよ・・・

しんみり思い出してる場合じゃなかった。

私と相性が良い子は居るだろうか、うちに来ても良いよと言ってくれる子が居るといいんだけど。


触れ合ってみてもいいと言われたので柵の中に入って座ってみた。

おちびさん達はちょっとおっかなびっくりだけど、成獣達はフンフンと匂いを嗅ぎに来ている。

気が済むまで好きに嗅いでくれ、たぶん臭くはないはず。ちゃんと風呂には入っている。

バフンッ  ぐはっ、重い・・・

大きな犬、いや狼?が胡坐の上に乗っかって来た。

ふんふんふんふんっ


「あひゃひゃひゃひゃっ、耳はだめ。くすぐったいじゃないか。うひゃっ」

「ふふふっ、キクノさん懐かれましたね。 ぐほっ」


私を見て笑っていたデイルくんの頭に大きなスライムが乗っかった。

首が痛そうだ・・・


「そちらのマーナガルムになさいますか?」

「そうですね、この子が私でいいと言うならば」


マーナガルムだったか、この子。神話に出て来る狼と同じ名前だ。

マーナガルムはじぃーと私を見つめた後に一旦離れてもう1頭、色違いのマーナガルムを連れて来た。


「ん? この子も一緒にって事?」

「がうっ」


2頭か、まぁなんとかなるか。

そう思ったのにいつのまにやら背中に猫が引っ付いていた。


「え? まさかの3匹?・・・」

「さすがですねキクノさん。僕はこのスライムが離れてくれません・・・」

「デイルくん、諦めて従魔契約するしか・・・」

「ハハハ・・・」


こんな感じで私はマーナガルム2頭とクロウキャット1頭と従魔契約する事になった。

予定外にデイルくんもスライム1匹と従魔契約をする事になっていた。

どうやって従魔契約をするのだろうと思ったけど、名前を付ければよいらしい。

名前・・・ブルーグレーの子をハティ。黒い子をノア。猫をバスティと名付けると足元が一瞬光った。

これで終わり?


『ハティ、良い名だ。感謝する』

『ノアか。気に入った。宜しく頼む』

『バスティ、格好良い名だね』


うおっ、言葉が解るようになってる! マジか。


「私はキクノ。これから宜しくね」


デイルくんの方も終わったみたいでスライムの名前はデイジーにしたようだ。

理由はデイジーの花みたいな色だかららしい。

契約も無事終わったので職員さんからこの子達の登録証を受け取った。

そこにはこの子達がどういった経緯でここへ来たのかとか、怪我など体の状態について書いてあるらしいので帰宅してからじっくり読もうと思う。


「キクノさん、帰りにアクセサリー屋に寄りませんか」

「アクセサリー屋に?」

「従魔用のピアスやネックレス、リボンなんかも扱っているんですよ」

「なるほど、有った方がいいかもだね。うん、寄って行こう」


冒険者ギルドを出てアクセサリー屋へと向かう。

3頭と1匹を連れているのでただでさえ目立ってしまうのに、デイジーはデイルくんの頭から降りようとしないので尚更目立ってしまっていた。


アクセサリー屋では相談して皆でお揃いのピアスを付ける事にした。

小さな三日月をモチーフにした金のピアスだ。

スライムにピアスって何処に着けるのだろうかと不思議に思ったが、頭のてっぺん?先っちょにキラリと光っていた。


帰宅すればリコさんとスカイラーさんが待っていた。


「あれ?どうしたの?」

「いや気になってな」

「キクノは3頭もか。これは予想外だったな」

「ん?デイルもか」

「ええ、成り行きでこうなりまして・・・」


2人共勤務は終わっているとの事だったので、せっかくだしと夕飯に誘った。

今日は野菜たっぷり白湯スープと鳥ハムを使って棒棒鶏にする予定だったので人数が増えても大丈夫だ。

下準備も午前中に済ませてあるのですぐ出来上がるし。


夕食を食べながら冒険者ギルドでの事を話す。

お揃いのピアスの事は黙っておく事にしていたのだがスカイラーさんが目ざとく見つけてしまった。


「おや、デイジーのピアスはハティ達のピアスとお揃いみたいだね」

「なんだと?つまりはデイルとキクノもお揃いのピアスと言う事か!」

「ええまぁ、そうなりますね・・・」


後日2人の耳にも三日月のピアスが付いていた。

何故に? 2人にはそのピアス必要じゃないだろう・・・

読んで下さりありがとうございます。

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