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第2話 大賢者、追放される


(なんだここは……? 一体どこなのだ?)


 床に寝ている点は変わらないが、天井や周囲の景色が違う。


 身体を起こしてみると、驚くほどに身体が軽い。


 私は動くのもままならないほどの老体のはず……。


 戸惑いのまま、私はこの部屋の鏡の前に立つ。


 そこには見知らぬ冴えない少年が映っていた。


 自分の顔を触ってみると、鏡の中の少年も逆の手で同じように触る。


「……まさか、私か? この少年が?」


 自分の喉から若々しくも情けない声が出た。


 状況を鑑みるに、私は……この子に転生してしまったらしい。


「……うん?」


 ふと、自分の胸元に黒い魔術刻印が刻まれているのを発見した。


 この刻印、数分後には持ち主の身体全体を蝕み、命を奪う危険なモノだ。


「『解除の魔法(アンチスペル)』」


 ひとまず、私は刻印の術式を破壊した。


 刻印はすぐに薄まり、消滅していく。


 この刻印は受け手が拒否さえすれば簡単に弾くことができる魔法だ。


 一方で、受け入れれば簡単に刻印を付与できてしまうが、そこらの魔導師には解除が難しい。


 つまり、よくある使用方法としては……。


「自殺しようとしていたのか? いったいなぜ――」


「ラティス! 何をしている! 準備はできたのか!?」


 直後、激しい声と共に扉が叩かれた。


 ラティス……この少年の名前だろうか。


 ふむ……心当たりはない。


 私はとりあえず、扉を開く。


 すると、目の前には怒り心頭といった様子の中年男性が立ちはだかっていた。


「ラティス! 早くしろ!」


 この少年の状況を鑑みて、私はひとまず様子を探ることにした。


 自殺の原因は彼かもしれない。


「すみません、頭を強く打ちつけて意識がハッキリしないのです……いったい何の準備でしょうか?」


「ハッ! この後に及んでそんな言い訳で逃れられるとでも思ったか! ならばもう一度言ってやろう!」


 中年男性はそういうと、1枚の皮紙を俺の目の前に突き出す。


「ラティス・レオグラッド! 名家の面汚しよ! お前を我がレオグラッド家から追放する!」


 その皮紙にはこの身体――ラティスのステータスに加えて学校の紋章のようなモノが刻まれていた。


 "ラティス・レオグラッド”

 クリスタリア魔法学校

 検査結果


 魔力量G

 魔力G

 出力速度G

 詠唱G

 魔法習得度G

 攻撃魔術G

 回復魔術G

 補助魔術G


 学年順位100/100

 総合評価 ”劣等生"


「他の兄弟たちはみな、お前とは違って優秀だ! 我が家にお前のような落ちこぼれは要らんのだ! 彼の大賢者、コルネリア様のような崇高なる大魔法使いを輩出する為にな!」


 ……目の前に居る私が、そのコルネリアなのだが?


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