14-4.真実
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手足を縛られ、目隠しにさるぐつわまではめられた状態で床に転がされ、どれほどの時が経っただろうか。
不意に聞こえてきた荒々しい足音に、サリアはピクリと身体を震わせた。
夜更けにサリアを連れ去った男たちが、戻ってきたのだろうか。サリアは身体を強張らせたが、扉が開く音と共に聞こえてきた声は。
「サリア様!!」
部屋の奥に倒れているサリアの姿を見つけるなり、フィオナは風のように駆け寄った。
そのすぐ後にエリオスが部屋に入って来て、サリアを助け起こす。フィオナは素早く、サリアの目隠しとさるぐつわを外した。
「…っ、クラウス様を、助けて!お願い!!」
開口一番、そう叫んだサリアに、フィオナとエリオスは顔を見合わせた。
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同じ頃、王宮の奥の間では。
王族たちが一堂に会し、緊急集会が行われていた。
王宮の最奥、裏庭に面したこの大会議室は、王族しか入室を認められない。
今日の議題は、クラウスの毒殺未遂事件の顛末について。
王家からは国王シュルツとクラウス、アイゼルハイム公爵家からはハインツ、ルノワール、リゼルの3人が出席した。
そしてグライナー公爵家からは、当主のルーカス、息子のローラントに加え、ローラントとの結婚を間近に控えたエリカの姿もあった。
深紅のカーペットの上に置かれた、ローズウッド材の楕円形テーブルセット。中央に国王、その隣にクラウスが座り、両脇から王族たちが家ごとに並んでいる。
「皆の衆、お集まりいただき感謝する。本日は私が調査したうえで明らかになった、此度の殿下毒殺未遂事件の真相をお伝えしようと思う」
会議の議長は、グライナー公爵が務めるらしい。事件調査を担当していたのは彼なのだから、それが一番効率がいいとの判断だろう。
「今回の一件について、我々はサリア・レイモンド伯爵令嬢による犯行と断定した。…そしてレイモンド嬢は現在、牢を脱獄して逃亡を図っている」
グライナー公爵の言葉に、王族たちが俄かにざわめく。
「ああ、心配は無用。既に私が手配した兵士たちが行方を追っている。捕え次第、厳罰に処することになるだろう」
ここでグライナー公爵は、隣に座るクラウスに目を向けた。