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2-2.出会い



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フィオナがエリオスと知り合ったきっかけは、学園の敷地内にある植物園。


広々とした温室内で育てられる魔法植物は、研究用のものから魔道具の資材となるものまで、種類は様々。植物のほかにも、学園が所有する調査林から産出した魔法鉱石なども、園内の保管庫に保管されている。


膨大な植物たちを適切に生育させるためには人手がいるとのことで、フィオナは入学して間もない頃に教員から声を掛けられ、植物園の管理を手伝うようになった。


その日も植物たちの手入れをしていると、不意に訪ねてきたのがエリオスだった。


当時、エリオスは魔法学園の3年生。学園の関係者であれば、植物園の資材は自由に使うことが許されている。


騎士志望だったエリオスは、武器や野営のための魔道具作りの材料を調達するため、よく植物園を利用していたらしい。それら手製の道具を手に、王国魔法騎士団の活動にボランティアで参加するのが、その頃のエリオスの日常だったのだ。


それからも度々植物園を訪ねてきたエリオスだったが、何度か会ううちに、魔道具についての相談をフィオナにしてくれるようになった。


長年愛用している剣や防具の改良法や、地図や羅針盤のメンテナンス。その度フィオナも、修理するのに最適な材料を調べては、エリオスに手渡していた。


修理が上手くいくと、エリオスは決まって礼を言いに来てくれた。そんなエリオスの笑顔が嬉しくて、フィオナも益々魔法植物の勉強に打ち込んだのだった。


しかし、2年前にエリオスは学園を卒業。フィオナも正妃教育が始まり、植物園の手伝いも出来なくなってしまった。


「…クラウスとの婚約は、上手くいってなかったのか?」


「えっ?」


鍋の火加減を見ていたフィオナは、急に話しかけられて顔を上げる。


「前に会った時より、少し痩せたな。…さっき植物園で久々に会って、そう感じた。それで心配になって、卒業式までこっそり追いかけたんだ」


「そうだったんですか…」


式が始まる前、フィオナは最後の思い出にと、大好きだった植物園に足を運んだ。すると何故かそこに、エリオスの姿があったのだ。


「上手くいっていなかったというか…正妃という役割が、私には大きすぎたんです。どんなに努力しても、不安が募るばかりで…」


「正妃教育をクリアしたんだから、力不足なんてことは無いと思うが…フィオナは元々、魔法の先生になりたがってたもんな。」


…覚えていてくれたんだ。


いつだったか植物園で、互いの夢の話をしたことがあった。その時語ってくれた「騎士になる」という夢を、エリオスは見事に叶えてみせた。


「…あの、エリオス様。もしかしてさっきの婚約は、私を助けるために…?」


だとしたら、あまりに申し訳なさすぎる。フィオナは平民なうえに、王子から婚約破棄された傷モノだ。そんな娘と結婚なんてしたら、エリオスはもちろん、アイゼルハイム家の家名にも傷をつけてしまう。


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