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11-6.クラウスの罠
「…エリオス様?」
「……反則だろ、今のは…」
耳まで真っ赤に染めて、そう呟いたかと思うと。
エリオスはフィオナの頬を両手で包み、口付けた。
唇を優しく吸われてから、再び抱き締められる。
「…もう少しで、約束を破るところだった」
「約束?」
「フィオナのことを守り抜くって。…俺も、もっと強くならなきゃな」
フィオナも、エリオスの身体に身を委ねた。
ああ、やっぱり私は、こうしている時が一番、安心できる。
「…エリオス様」
「ん?」
「大好き」
フィオナはそっと頭を持ち上げ、エリオスの頬に、キスをした。
「…私も、エリオス様を守りたいです。エリオス様のこと、幸せにしたい」
「…それは普通、男の役目だろ?」
不意打ちに顔を赤らめながら、エリオスが言うと。
「好きな気持ちに男も女も関係ないです。私だって――」
フィオナの反論は、エリオスの唇で遮られた。
一度離して、もう一度。優しい口付けは、何度も何度も降ってきた。
それからフィオナが眠りに落ち、翌朝目を覚ますまで、エリオスは傍に付いていてくれた。
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