6/113
1-6.婚約破棄、そして…
「…ふん、馬鹿馬鹿しい。聞くまでもなく答えは――」
「私でよろしければ」
鼻で笑うクラウスの言葉を遮るように、フィオナがはっきりと声を上げる。
「喜んでお受けいたします。エリオス様」
フィオナがエリオスの手を取り、微笑んだ。
固唾を吞んで見守っていた会場が、ワッと興奮に包まれる。
クラウスが呆然と瞠目し、エリオスは――
「――ありがとう…!」
フィオナの手をしっかりと握り、弾けるような笑顔を見せる。
見たこともないエリオスの表情に、フィオナの心臓が大きく高鳴った。
「そういうわけで陛下、我々はこれで失礼いたします。ああ、正式な婚約手続きは、後日改めて」
「うむ」
さすがは一国の王。この会場でただ一人、泰然と腰掛けている。
「さ、行こうか」
「は、はい…!」
エリオスの優しい声と眼差しに、フィオナはどぎまぎしながらも、やっとの思いで頷く。
そしてフィオナは、エリオスに颯爽とエスコートされ、会場を後にしたのであった。