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8-1.答え

フィオナは騎士団の専属整備士として、週3日ほどのペースで魔法機器のメンテナンスを行っている。


今日もフィオナは午後一番で駐屯地に赴くと、早速設備室へ向かった。


その途中、数人の騎士たちが駆け足でフィオナを追い抜いていく。


フィオナは不意に、胸騒ぎを覚えた。すれ違い際、彼らの会話の中から『ラクア山』という単語が聞き取れたのだ。


気が付くとフィオナは、騎士たちの後を追いかけていた。



騎士団本部の大部屋には大勢の騎士が集まり、最前列の中央では、ユンゲルスが光玉に向けて次々に指示を飛ばしている。


ただならぬ事態が起きていることは、フィオナにも分かった。


「あの…、何があったんですか?」


一番手前にいた騎士に、そっと尋ねると。


「王宮の視察団がラクア山を登っている途中、崩落事故が起きたらしい。今、現地の騎士たちが救出しているようだが…」


(じゃあ、エリオス様も…)


その時、光玉から声が響いた。


『団長、報告します。崩落に巻き込まれた5名のうち、軽傷の2名を救助完了。残る3名は、ケガのためロープでの救出が困難な状況です』


光玉からは、続けて。


『先ほどから浮遊魔法での救助を試みていますが…場所のせいか、上手く発動しません』


その声に、フィオナの心臓が、どくんと大きく脈打った。


(エリオス様…!)


嫌な予感は、的中した。エリオスは、危険な崩落事故の最前線にいたのだ。



ラクア山の崩落現場では、騎士たちが懸命に救助活動にあたっていた。


しかし厄介なのは、此処が強い魔法エネルギーを放つ特殊な山だということだ。


魔法は術者の魔力が空間に作用することで発動するが、この場所には既に濃厚な魔法エネルギーが充満している。それに阻害されることで、魔法が使えない、という現象が起こってしまう。


魔法エネルギーの研究が進む前の時代、このラクア山は『魔力を奪われる山』と言い伝えられ、誰も近寄ろうとしなかった。


とは言え、まさか本当に、魔法が使えなくなるとは――…


これまでに発見された高エネルギースポットでも、多少魔法の効きが悪くなる現象は報告されていた。


だが、発動すらしなくなるほどの強力なエネルギー産生地が存在しようとは、騎士たちは勿論、調査団の専門家たちも全く予想していなかったのである。


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