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3-7.新しい家族

それは、学園入学前の説明会でのこと。


試験に合格した入学予定者向けに開かれる、顔合わせも兼ねた会合で、当時14歳のフィオナももちろん参加していた。


説明会は午前中のみで、その後は学園内を自由に見学できる。


事件が起きたのは、説明会終了後間もなく。学園裏手にある調査林で、火の手が上がったのだ。


原因は、学園の裏庭で、入学予定者数名が許可なく魔法を使ったこと。


ローゼンブルグ王国では、魔法学校入学前の子供が、保護者や指導者の立ち合いなく、単独で魔法を使うことを法律で禁じている。魔力が不安定な子供たちを、魔法の暴発から守るためだ。


しかし彼らは、学生寮に住む在校生にそそのかされ、『フォッジ』と呼ばれる魔法競技で遊んでいたらしい。


『フォッジ』は炎の魔弾を的に当て、獲得点数を競う。弾の正確なコントロールに加え、炎の魔法の威力が勝敗を分ける人気競技だ。


興奮した彼らの魔法は例によって暴発し、すぐ近くの調査林の木に飛び火した。


学内の施設を見て回っていたフィオナはその時、偶然火災現場を通り掛かった。火事を起こした張本人たちは既に姿をくらまし、フィオナと同じように現場に居合わせた子供たちが、大人を呼んで来ようと慌てて走り去って行く。


しかし、火の勢いを一目見て、フィオナは。


(――今すぐ消火しないと間に合わない…)


木々が密集する調査林。不運なことに、ここ数日続いた晴天で、土も空気も乾燥している。火は次々と隣木に燃え移り、全焼は時間の問題だった。


フィオナは燃え盛る炎に向け、水の呪文を唱える。


振りかざした手の先から、青白い光と共に水が龍の如く飛び出し、炎に降り注ぐ。


と、そこへ。


「私も手伝うわ!」


フィオナの隣に少女が並び、同じく水の魔法を発動する。


この、フィオナの助太刀に入ってくれた少女が、クロエだったのである。


燃え上がる炎も、2人掛かりの水の力に、次第に勢いを失ってゆき。


報せを聞いて教員たちが駆け付けた時には、ほとんど鎮火されていた。



「――大問題ですよ、これは!!」


校舎内の執務室で、王国の紋を付けた役人が目の前の机をダン!!と叩いた。


連れてこられたフィオナとクロエは、びくりと身体を震わせる。


「法を犯した者たちを、王立の学園に入れるわけにはいかない。彼女たちの入学許可を即刻取消していただきたい!」


王立魔法学園は王宮直属の教育機関であるため、国の役人と教員が協同で運営している。そのため何か問題が起こると、王宮側と学園側との協議によって対処法を決めるのだ。


火事の報せを聞きつけて王宮から飛んで来たらしい役人は、フィオナとクロエが大人の目の無いところで魔法を使用したことに対して、激怒しているようだった。


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