第2話 相談事を聞いてみる
「では、相談事を聞こうか」
「はい。宜しくお願いします。……相談事は恋愛のことなんですけど、大丈夫でしょうか?」
何に対して大丈夫かと聞いているのか。これは俺には分からない。俺が恋愛方面が分かるのかが疑問なのか。それとも、俺の見た目が恋愛なんてしたこと無さそうに見えるのか。
どちらでもそれは良いが、
「聞いてみないことにはなんとも言えないな。……で?ユーフ。お前に恋する相手ができたのか?それともストーカー被害に遭って困っているのか?それとも数人から言い寄られて誰を選んで誰にどう断るか悩んでいるのか?」
俺は思いついたものを幾つか聞いてみる。
俺のその出した質問にユーフを含め勇者パーティーの面々は目を丸くし、
「アルストって意外と恋愛面も分かるんだね」
「そういうのはてんで駄目なタイプかと思っていましたわ」
「咄嗟に3つも出ているなんて……もしや私たちよりも恋愛では上?」
そんなことを言っている。やはり俺は恋愛事はダメだと思われていたようだな。
とはいえそんな言葉に構っている余裕もないので、俺はユーフの方へ視線を向け、先を促す。
「あっ。えっと私ではないんです。私は戦場に出てばかりで恋はしませんし、告白も全て断りますので。……ただ、知りあいのシスターが少し困っているようでして」
「ほぉ?」
知り合いのシスター。どういうタイプのシスターかは分からない。
が、
「シスターの恋愛にどんな制限があるのかは知らないが、何も条件がないわけでは無さそうだよな」
「ええ。そうなんです。お察しの通り幾つか条件がありまして。……で、今回相談したいのはそのシスターが敬虔な信者でない方を好きになってしまったということでして。教会ではシスターがある一定以上の信仰心がない方との結婚をすることは禁止されていますので、それがどうにかできないかと」
「ふむ。それはまたなんとも……その好きになった相手に信仰の度合いを高めるように要求するなどはできないのか?」
俺は1番簡単そうな提案をしてみる。
ただ、
「無理ですね。敬虔な信者と認められるには例外を除いて1年以上期間が必要なんです。しかし、数ヶ月後には地元に帰る予定だということでして。……あと、その方は昔教会の腐敗した部分によって被害を受けてしまった様でして。できればあまり教会に関わりたくないとも」
じゃあなんでシスターと恋仲っぽくなってるんだよ!とは思う。が、恋とはそういうものなのだろう。俺は1人でそう勝手に解釈して、
「分かった。じゃあ、敬虔な信者と認められるための例外を教えてくれ」
「はい。色々ありますが、年に一定以上の寄付をしたり」
「ふむ」
「あと、分野にかかわらず大きく活躍した人は認められやすいですね。例えそれが有名な話ではなくとも」
「……ふむ」
活躍した人。
つまり、俺はその起きする相手というのを活躍した人にすれば良いということなんじゃないだろうか。……そういうことなら、
「その者の出身地、というか、帰る地元というのを教えてくれないか?」
「え?あっ。はい?」
首をかしげながらもユーフは俺に地元を教えてくれる。幸いにもそこまで遠い場所ではなかったぞ。なので俺は、
「さぁ!アンデッド達よ!滅ぼせ!攻め滅ぼしてしまえぇぇ!!!!」
「「「「ヴォアァァァ」」」」
独特なうなり声を上げながらアンデッドたちは進んで行く。例のシスターが恋する相手の出身地へ向かって。
特に重要な村というわけでもなく防御も薄かったので、あっさりと崩れ落ちた。
「ふむ。後はそのシスターがどこまで上手くやるかが問題だな」
ということで、その後の話をしよう。
地元が滅ぼされたやつは激しい怒りと悲しみに襲われた。そこにシスターが寄りそう。相手が魔王とその軍勢となれば、敵の敵は味方。つまり、教会側は味方に……なるわけではないが、認識が改まる。例え教会が嫌いだとしても、利用する価値はあるというように。
それとともに寄り添うシスターに更なる愛情が芽生える。そこで考えたのが、彼女との結婚のため、大きな貢献をしようと言うこと。そのために始めるのは地元の復興。自身の財産の多くをなげうって村の1割ほどを再建し、さらには小規模ではあるものの教会を建てた。これを恋するシスターが美談として語り、多くの注目を集めることに。教会も貢献した者は敬虔な使徒として認めるため、シスターの相手も認められることになる。
その後2人は結婚し、シスターはその関係で再建された教会へと派遣されることに。
教会で2人は、穏やかな幸せを育んでいくのであった。……一方は、強い復讐心を奥底にくすぶらせながら。