終わりの終わりの始まりの終わり
「過去にこんなにも素晴らしい考え方をされた人間が居ただろうか、否!いるはずがない。」
「いや、いただろう。」
「でも別に……請負人がやったと確定したわけじゃ……」
「じゃあ他にどんな可能性があるというのですか。私の目を欺いて記憶を奪える実力者など……請負人か翼……フェニキアでやっと可能性があるかどうか程度の物ですよ。」
「たしかにお前は強い、でもそれは世間一般から見てだ、特級の中じゃ俺とお前で最下位争い。1級のトップ3とタイマン貼って勝てるかどうかだ。それにお前は探知ができるような記憶はほぼ持っていないに等しい、持ってる記憶はほとんど再現系。ある意味欺くのは容易だ。」
「だから言ってるのですよ、特級請負人が一番可能性として考えられると、仲間を信じたいのはわかりますが、ここは非情になるべきです。」
「だが特級で記憶喰いを持っているのは一人しか……だが彼とはこの前、相当前だが共に『原初の試練』を鎮圧した。お互いの関わりがほとんどないとはいえ、仲間だろう。」
「先輩……さっきから言っていることが滅茶苦茶です。それは仲間ではありません、いわば協力関係、仲間とは似て非なるものです。それに仲間だからと言って裏切らないとは限りません。それは幻想というものです。」
「でも……」
「でもじゃないです!先輩は自分が置かれた状況を理解しているんですか!?特級請負人の一人の記憶がなくなったのですよ!社会情勢に影響を与えるなんてレベルじゃないんです!世界が可愛く見える次元なんですよ!もっと……自分を大事にしてくださいよ……」
彼女は泣き出してしまった。
(それを言うならば最後の言葉は余計だったろうに、建前はしっかりしてもらわないと。感情移入してしまうだろ……)
「わかった、信じよう。これをやったのは彼だと。」
「良かった……信じてくれるんですね。」
「ああ、彼が……『閉世界のメタモルフォーゼ』がやったんだな。」
全く、胸糞悪いことこの上ない。
短編なら何も考えなくていいからするすると物語が書けるのに。